病気の予防や介護予防の観点から疫学調査や社会調査による研究を行う「東京都健康長寿医療センター研究所」。健康長寿の人をさまざまな視点で調査する同研究所の副所長・新開省二先生に、元気な体づくりのために何が大切なのか、お話を伺いました。
「2000年以降のデータを多角的に研究したなかで特に重要なのが、食生活、体力・身体活動、社会参加です。生活習慣病の予防の他、加齢に伴う心身機能低下の抑制にもつながります」と新開先生。食生活で大切なのは"栄養密度の高い食事"をすることだといいます。
「加齢に伴い食事の量が減り、エネルギーやたんぱく質量が不足しがちになります。そこで大切なのが"多様な栄養素を摂る=栄養密度が高い食事をする"こと。そういった食事をしている人は低栄養の予防はもちろん、転倒や認知症のリスクも低くなるという研究結果があります」
多様な栄養素を摂るためには多品目の食材を摂ることが望ましく、それを上手に摂るために推奨しているのが下記の「さあにぎやかにいただく」です。摂るべき食品を魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、いも、卵、大豆、果物の10食品群に分け、1日に7食品群以上の摂取を目安にしています。また、「"にぎやかに"というのは"誰かと一緒に食事をする"という意味もあります」と新開先生。なぜなら、孤食(1人で食事をする)の人は健康長寿を脅(おびや)かすリスクが高いという統計があるからなのです。
「さあにぎやかにいただく」で"栄養密度"をアップ!
「さあにぎやかにいただく」は10食品群の頭文字をとった合言葉。油にはバター、ドレッシングなど、牛乳にはチーズなど乳製品も含みます。1日に食べた食品群にチェックを入れ、1日7点以上なら合格です。
□さ=魚
□あ=油
□に=肉
□ぎ=牛乳
□や=野菜
□か=海藻
(に)
□い=いも
□た=卵
□だ=大豆
□く=果物
※「ロコモチャレンジ!推進協議会」考案
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取材・文/中沢文子