ポリフェノールはチョコレートで摂るのがベストだった!/明治に聞くチョコレートのおいしいヒミツ(1)

コンビニやスーパー、ドラッグストアでもよく目にする、カカオ分が%で記載されたチョコレート。これらは「高カカオチョコレート」と呼ばれる、カカオの含有量が多い商品で、「健康に良さそう」と気になっている人も多いのではないでしょうか?

そこで、株式会社明治 菓子商品開発部に所属する森永寛さんに、チョコレートにまつわるさまざまなお話をうかがってきました。第1回は、カカオチョコレートと、そこに多く含まれる「カカオポリフェノール」についてお伝えします。


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株式会社 明治 菓子商品開発部 森永寛さん

最近よく見かける「カカオチョコレート」ってどんなもの?

―そもそもカカオチョコレートとは、どういったものを指すのでしょうか?

株式会社 明治 森永さん(以下、森永) 一般的にカカオ分70%以上のチョコレートが高カカオチョコレートと呼ばれています。またカカオポリフェノールが100gあたり1500mg以上含まれるものを高カカオポリフェノールチョコレートと呼んでいます。「チョコレート効果 カカオ72%」には、高カカオポリフェノールチョコレートの基準を大きく上回る100gあたり2540mgのカカオポリフェノールが含まれているんですよ。

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株式会社 明治 「チョコレート効果」

 

―最近、高カカオチョコレートが話題になることが増えましたが、売り上げには結びついているのでしょうか?

森永 「チョコレート効果」は、コンビニよりスーパーやドラッグストアでよく購入されているようです。実は「チョコレート効果」の売り上げの7割は50歳以上が占めているんですよ。

―「チョコレート効果」は、1998年から販売がスタートして、今年で20周年を迎えますよね。ロングセラー商品なので、てっきりコンビニでも売れていると思ってたんですが...。

森永 コンビニをよく使う世代は40代以下が中心になっていて、「チョコレート効果」の購買層と一致していないんですね。「チョコレート効果」は、カカオポリフェノールの良さに着目している世代に届いている印象です。

―その世代をターゲットにするのは、最初から決めていたのでしょうか?

森永 発売当初から、「チョコレートの分野で健康促進をしよう」という意図はあったようです。ただ、当時は全然、根付かなくて、売り上げもあまり伸びませんでした。2006年ごろにチョコレートを使ったダイエットがブームになって、そのころにカカオ含有量の数字を入れるようにしたところ、売り上げが一気に伸びました。ただ、そのブームも長続きはしなくて、再び低迷していたところ、2013年ごろから、先ほど言った健康意識の高いシニア層を徐々に取り込み、売り上げが拡大していきました。

―結果が出るまで、けっこう長い時間がかかったんですね。社内で反対意見は出なかったのでしょうか?

森永 何度も「辞めよう」という話が、社内でも出ていました(笑)。でも、我々はチョコレートメーカーである以上、新たな価値を創造しなくてはいけない。カカオの価値を伝えて市場を拡大するというのは、社としてずっと追求してきたテーマでもあったので、ここまでがんばれたのだと思います。

ポリフェノールの摂取にベストな「チョコレート」という形態

――健康意識の高い人たちから、いま注目を集めるカカオポリフェノールですが、そもそもどういったものなんでしょうか?

森永 一般的には、「なんとなく健康に良さそう」というイメージですよね(笑)。カカオポリフェノールは、ここ20年くらいで一気に研究が進みました。ポリフェノールを含む食品の中でも、カカオ豆を使う食品は素材を丸ごと使うので、効率よく摂取できるんですよ。そして、ポリフェノールを摂るのには、実はチョコレートがベストなんです。グラムあたりのポリフェノール量が、リンゴやワインと比較しても圧倒的に多い。

――高カカオチョコレートをたくさん食べれば、カカオポリフェノールは十分に摂れますか?

森永 カカオポリフェノールは、体に溜めることができず、だいたい24時間で体からなくなってしまうんですよ。一度にたくさん食べるのではなく、ちょこちょことつまむように、ポリフェノールを摂るほうがいいと思います。

ポリフェノールを摂取するには高カカオチョコレートが一番効率がよいことがわかりました。次回は引き続き森永さんに、明治チョコレートとチョコのヒミツについてお聞きします!

 

次の記事「じつは希少なカカオ、争奪戦はもう始まっている!?/明治に聞くチョコレートのおいしいヒミツ(2)」はこちら。

●今日からチョコ博士!? チョコのチョコっと知識をご紹介

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身近な食品なのに、意外に知らないことの多いチョコレート。取材時に聞いた、知っているとちょっとうれしいチョコレートミニ知識をお伝えします。

 

1.飲み物としての歴史が長いチョコレート

チョコレートはもともと、ドリンクとして飲まれていた長い歴史を持ちます。カカオは紀元前2000年くらいのアステカ文明時代から栽培されており、カカオ豆は当時は王族や貴族の貢物、貨幣代わりの高価なものとして使われていました。現在のチョコレートのような、食べるスタイルになってからの歴史は、わずか170年ほどしかたっていません。また、カカオ豆に含まれるポリフェノールに注目が集まり、科学的な検証が始まったのが1990年代ごろから。長い歴史から見たら、本当につい最近のお話なのです。

 

2.約40年前は「チョコレートの夏休み」があった!

高度経済成長時代の1970年~80年代は、チョコレートを購入できる時期が限定されていました。売り場に冷房が完備されていない店が多く、夏になると暑くて溶けてしまうため、7月~8月はお店からチョコレートが消えていました。そして、暑さが和らぐ9月くらいになると、チョコレートが一斉に出荷されて、一気に店頭に並びました。チョコレートにも"夏休み"があったのです。その後スーパーやコンビニが次々にできて冷暖房が完備され、搬送も冷蔵車が当たり前になると、夏場でもチョコレートが売られるようになりました。この流通革命が、チョコレートの市場拡大につながったのです。

 

3.希少なカカオを巡って世界で始まる争奪戦

カカオはじつは希少な作物で、全世界でも年間400万トン程度しか取れません。中国だけでも約1億3000万トン(2016年・外務省の発表データより)収穫されている小麦と比べると、いかに少ないかがわかりますね。このわずかな量のうち、1/100の約4万トンが日本で消費されています。

実は日本以外のアジア諸国では、チョコレートはあまり身近な存在ではありません。しかし、近年研究が進んでいるカカオの健康価値などが知られるようになると、これから需要が爆発する可能性があります。そうなると、カカオの争奪戦がこれまで以上に激しくなり、良質のカカオを手に入れるのが、より困難になるかもしれません。チョコレートメーカーにとって、"カカオの調達"は永遠の課題なのです。

インタビュー・文/岩片 翼

 

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