じつは希少なカカオ、争奪戦はもう始まっている!?/明治に聞くチョコレートのおいしいヒミツ(2)

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コンビニやスーパー、ドラッグストアでもよく目にする、カカオ分が%で記載されたチョコレート。これらは「高カカオチョコレート」と呼ばれる、カカオの含有量が多い商品で、「健康に良さそう」と気になっている人も多いのではないでしょうか?

そこで、株式会社明治 菓子商品開発部に所属する森永寛さんに、チョコレートにまつわるさまざまなお話をうかがってきました。

第2回目の今回は"嗜好品"としてのチョコレートが、おいしさを保ちつつ、カカオポリフェノール量を安定させるようになるまでの道のりについてお伝えします。

前の記事「ポリフェノールはチョコレートで摂るのがベストだった!/明治に聞くチョコレートのおいしいヒミツ(1)」はこちら。

パッケージに書かれた数字を保つための企業努力

―「チョコレート効果」といえば、「CACAO 72%」のような数値表記が、商品のアイコンになってますよね。

株式会社 明治 森永さん(以下、森永) 発売当初は、いまと違って商品も1種類しかなくて、カカオ分の数字が書いてなかったんですよ。現在のように、パッケージにカカオ分の数字を書き始めたのは2006年からですね。

―あの数字は、すごく説得力がありますよね。見るたびに、「こんなに含まれてるんだ!」と実感でき、手に取ってみたくなります。

森永 実はチョコレートの原料となるカカオマスは、産地や加工方法によってポリフェノールの量が違うんですよ。味を一定に保ちながら、同時にカカオポリフェノールの含有量を保つのは、非常に難しい技術が必要となります。 我々はミルクチョコレートが主力商品だったころから、カカオ豆を自社で購買し、それを加工しています。そこで培ってきた知見が、製品作りに活かされていると思っています。余談ですが、このポリフェノール量へのこだわりは日本独自のもので、チョコの本場と言われるヨーロッパにも、ポリフェノールの数字を記載した商品は多くないんです。

―当たり前のように書かれている数字には、そんな苦労があったんですね。

森永 いまカカオ豆は世界中で需要が高まってきていて、争奪戦になっているんです。その中で、ポリフェノール含有量が高い豆を確保しながら、それを加工し、品質を保つことに苦労しています。でも、お客様はカカオポリフェノールを期待して買ってくださっているので、そこはしっかり守っていきたいですね。

本当は100%にしたかった!? 3つの数字に隠された意味

―カカオは含有量を増やすほど、苦くなりますよね。そこはどうバランスをとっているんでしょうか?

森永 チョコレートの原料は、カカオの胚乳の部分を潰したもので、これが極めて苦いんですよ。その苦みは、ポリフェノール由来なんです。このカカオだけを固めてチョコレートにすると、「カカオ100%」になります。

―「チョコレート効果」で一番カカオポリフェノールの多い製品は「チョコレート効果95%」ですよね?  やっぱり100%で製品化するのは難しいのでしょうか。

森永 数字をパッケージに書き始めた2006年には、99%という商品があったんですよ。本当は100%を作りたかったんですが、大量生産するのが難しくて99%にしたんです。その後、やっぱり少し砂糖を入れたほうがおいしいという意見もあって、現在の95%になりました。

―そういえば、99%や95%はともかくとして、72%、86%って、中途半端な数字ですが、あれはなにか意味があるんですか?

森永 72%は、一般的に高カカオチョコレートがカカオ分70%以上のことをいうので、それより少し上回るということで、その数字にしました。86%は、72%と99%の中間を採った(※正確には85.5%)数字になります。その後、99%は95%に下がりましたが、86%はとくに調整せず、現在に至ります。

―あの3つの数字には、そんな歴史があったんですね。ところで、72%でもかなり苦く感じるんですが、おいしく食べる秘訣はありますか?

森永 苦すぎると食べにくいので、カカオ分を調節して、苦味と酸味のバランスを取るように工夫していますね。とはいえ、「チョコレート効果」を買ってくれる人は、「健康にいいから」ではなく「おいしいから」という意見が圧倒的に多いです。2018年8月にカカオ豆の加工方法を見直して、さらに上質なカカオ感に磨きをかけた商品へと改良を行う予定ですので、今までの商品との味わいの違いにも期待してほしいですね。

 

現地入りして農法や製法までこだわり抜く

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株式会社 明治 「明治 ザ・チョコレート」

―「明治 ザ・チョコレート」についてお聞きします。こちらも、高カカオチョコレートになるのでしょうか?

森永 そうですね、一部の商品にはカカオ量が70%を超える商品がありますので。でも、「チョコレート効果」と比較すると、こちらは嗜好価値に重きを置いています。ワインやコーヒーのような、嗜好品としてのこだわりを強調していますね。それでも、チョコレートの美味しさを大事にしているという点で、結局、行き着くところはどちらも同じかもしれません。

―こちらの商品は2014年の発売ですが、似たようなコンセプトの商品を過去に出されてましたよね?

森永 もう「何回やるんだ?」っていうくらい、何度もチャレンジしていますね(笑) 。カカオの木に農法、発酵など、現地と一緒にこだわり抜いて、おいしいチョコレート作りにずっと取り組んできました。チョコレートの味は、じつは現地での工程がとても大切で、人によっては7割がそこで決まるという方もいるほどなんですよ。なので、我々が産地に行って、そのことを伝えたりしてきました。「明治 ザ・チョコレート」は、そういう取り組みがお客様に伝わり、「おもしろい!」と感じていただけたことも、ヒットにつながった一因だと思います。

―そんな、こだわりの詰まった商品が、日本ではほんの200円ちょっとで買えてしまうんですね。

森永 チョコレート先進国の欧米でも、その点は驚かれますね。そもそも、こんな風にカカオ豆にまでこだわった商品を、ショコラティエではなく、マスプロ(大量生産)メーカーが作ること自体が、少ないので。

―今後、チョコレートメーカーとして、さらに取り組んでいきたいことはありますか?

森永 カカオの健康価値を、もっと世の中に伝えていきたいですね。

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お話をうかがった株式会社 明治 菓子商品開発部 森永寛さん


チョコレートができるまでがわかる体験講座!

明治では、チョコレートにまつわるさまざまなレッスンを受けられる「明治カカオレッスン」を定期的に開催しています。「できたてチョコレート実演」講座では、実際にカカオ豆に触れたり、カカオのジュースを飲んだりと、チョコレートができるまでの工程を体験できます。お申込みは「明治カカオレッスン」ホームページから。

IMG_7789.JPGこちらがレッスンの会場に置かれている設備。現地での工程がわかるように再現されています。発酵させたカカオ豆は、向かって左の箱で乾燥させ、右にある機械でローストし、砕かれます。

インタビュー・文/岩片 翼

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