老眼の最新治療! 白内障の手術と一緒に治せます/老眼

pixta_22262469_S.jpg年を重ねるにつれ、誰もが感じるのが視力の衰え。いわゆる「老眼」ですが、これは加齢によって目の中の奥の水晶体が老化することから発症するもので、45歳前後を迎えるころから、ならない人はいない症状です。その仕組みや最新の医療技術、また、老眼になってからの生活を少しでも快適に送る方法などを、みなとみらいアイクリニック主任執刀医でクイーンズアイクリニック院長の荒井宏幸先生にお聞きしました。

前の記事「目にいい栄養素を摂って老眼の進行をゆるやかに/老眼(10)」はこちら。

 

人工水晶体「多焦点眼内レンズ」で遠くも近くも

眼科の治療技術は近年、革命的といえるほど進歩していて、ひと昔前は治らないとされていた老眼も手術によって治せる時代になりました。

目の中のレンズである水晶体の老化が「老眼」で、さらに老化が進んで濁った状態が「白内障」といえますが、この白内障の治療と合わせて老眼も治すことができます。

最新の治療が、遠近両用眼内レンズ(多焦点眼内レンズ)を使った手術です。

従来の白内障の手術では濁った水晶体を取り出して、単焦点の人工水晶体(眼内レンズ)を目の中に入れます。この場合、1カ所にしかピントを合わせられないので、手術の前に患者さんに「遠くか近くか中間か、どこにピントを合わせたいですか?」と希望を聞いていました。

老眼も一緒に治療する場合は、遠くも近くもピントを合わせられる、遠近両用の焦点を持つ多焦点の人工水晶体を入れます。これで白内障が治る上、手元も遠くも見えるようになるわけです。レンズの種類によっては先進医療が適用されているものもあり、民間の先進医療保険の対象にもなっています。

手術といっても日帰りの外来手術が一般的となっており、実際の手術時間は15分ほどです。麻酔は目薬を使うので目に注射をすることはなく、痛みもほとんどありません。患者さんはゆっくりベッドに横になっているうちに治療が終わります。

 

●単焦点レンズの主な特徴(白内障の治療)
・健康保険が適用されるので、手術費用が安い。
・遠くか近くか中間か、1カ所にしか焦点が合わせられないが、合わせた焦点ははっきり
見える。ただし、単焦点レンズの焦点を近くに合わせた場合は遠くを見るためのメガネ
が、遠くに合わせた場合は近くを見るための老眼鏡が必要となる。
・夜間の光のまぶしさやにじみが少ない。

●遠近両用眼内レンズ(多焦点眼内レンズ)の主な特徴(白内障と老眼の治療)
・健康保険が適用されず、手術費用が高額になる。(みなとみらいアイクリニックの場合、
全額自費診療の場合は両目で1,604,400円)
・日常生活の中では、遠くも近くもほとんどメガネや老眼鏡なしで見える。
・夜間や暗い場所で光のまぶしさやにじみを感じることがある。
・視力が安定して自然な見え方になるまで1~3カ月かかる。

 

最近は、光のにじみやまぶしさを軽減し、よりクリアな視界で見られる「EDOF(イードフ)眼内レンズ」という焦点深度拡張型レンズも登場しています。単焦点レンズと同じような見やすさを持ちつつ、焦点の深度(ピントが合う距離)を広げることによって、遠方だけでなく手元もある程度見えるレンズで、海外では遠近両用眼内レンズ(多焦点眼内レンズ)から徐々にこのレンズに移行しているという状況にあります。

いずれの場合も、その人の目の状態によって最適な治療は異なってきます。また、裁縫や読書などで近くのものを見たい、毎日車を運転する、夜間に仕事をすることが多いなど、生活のスタイルや趣味、職業などによっても異なりますので、治療法を決める際には、眼科医としっかり相談をすることが重要です。

  

次の記事「初期の老眼対策には「モノビジョン」も有効/老眼(12)」はこちら。

取材・文/岡田知子(BLOOM)

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<教えてくれた人>
荒井宏幸(あらい・ひろゆき)先生

みなとみらいアイクリニック主任執刀医、クイーンズアイクリニック院長、防衛医科大学校非常勤講師。1990年、防衛医科大学校卒業。近視矯正手術、白内障手術を中心に眼科手術医療を専門とする。米国でレーシック手術を学び、国内に導入した実績から、現在は眼科医に対する手術指導、講演も行っている。著書に『「よく見える目」をあきらめない 遠視・近視・白内障の最新医療』(講談社)、『目は治ります。』『老眼は治ります。』(共にバジリコ)ほか。

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