『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』 (心理カウンセラーmasa/KADOKAWA)第3回【全8回】
「なんだか生きづらい」「いつも同じようなことで悩んでしまう」と感じることはありませんか? もしかしたら、その原因は幼い頃の記憶にあるのかもしれません。書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』(KADOKAWA)は、過去の経験、特に幼少期の記憶が、今のあなたの感情や行動に深く影響を与えていることを優しく解説します。「あの頃の小さな私」が抱えていた悲しみや不安、満たされなかった気持ちに気づき、理解することで、長年の心の痛みが少しずつ癒されていくはずです。より穏やかで自分らしい生き方を手に入れるためのヒントが詰まったこの本の中から、ありのままの自分を受け入れるための方法をご紹介します。
※本記事は心理カウンセラーmasa著の書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』から一部抜粋・編集しました。
リトル・ミーは傷ついた過去の記憶
繰り返す悩みはリトル・ミーの悲しみのサイン
あなたはもしかしたら今、「気がつくと、いつも同じことで悩んでいる」「自分の性格や人生が嫌でたまらない」「つらい感情に振り回されている」などのことで苦しんでいないでしょうか。
そして、「こんな人生になったのは自分のせい」「なんて自分はダメなんだろう」などと自分を責めていませんか。
でも、自分に厳しくしすぎないでください。つらい状況が続いて生きづらい、そのように感じるときは、あなたのリトル・ミーが悲しんでいるサインかもしれないのです。
幸子と大和が神社で出会ったとき、大和は「幸子さんの悩みの正体は、"リトル・ミー"が答えを知っているかもしれませんね」と言いました。
リトル・ミーとは、「心の中に住む、過去に傷ついた自分、過去に傷ついた記憶」です。リトル・ミーは過去、主に幼少期の体験から生まれますが、特には恐怖、不安、悲しみなどを感じて深く傷ついたときに生まれるものを指します。傷ついたまま癒されずにいる、あなたの過去の分身なのです。
リトル・ミーは、心理学の用語では「インナーチャイルド」と呼ばれています。ただ、実際のカウンセリングの場で話しやすく、イメージしてもらいやすくするために私は「リトル・ミー」と呼んでいます。この本でも、リトル・ミーという言葉でご紹介をしています。
リトル・ミーが生まれる要因は、多くの場合「親」にあります。
もちろんここでいう両親、親とは、血縁関係によるもののみを指すわけではありません。両親以外にも祖父母、育ての親、学校の先生、近所の親しかった方々、兄弟姉妹......など、主として幼少期に影響を受けた人なら誰でも対象となる可能性があります。
この本では、便宜的に「両親」「親」という言葉を使いますが、自分に強い影響力を持つ存在のことと想定して、お読みいただきたいと思います。
子どもが幼いころに接するのは、両親などの身内がほとんどです。
そのため、今の自分が「自分なりの考え」や「常識」だと考えることの根源は、さかのぼると、実は両親にあることが多く見られます。
幼少期の子どもは親の言葉をそのまま素直に受け止めます。子どもの少ない経験では「今の言葉は冗談だよね」「からかわれているだけ」などという解釈は普通できないため、親が思っている以上に傷ついてしまうことが少なくありません。
実際に、親に「あなたは、橋の下で拾ってきたのよ」と言われたことを、大人になっても心の傷として持っていた人もいます。
人の脳は、生まれてから今までのことすべてを記憶していると言われています。ですから、たとえすでに終わった過去の出来事であっても、そのときに受けた傷は癒さない限り大人になってもあなたの中に残るのです。
リトル・ミーは、受けた傷を癒したいために、同じような関係性や状況を再現する人を引き寄せて、自分がそこにいること、そして、傷ついていることに気づいてもらおうとします。
幸子の場合も、お局さんにキツくあたられたり、都合のいいように使われたりするのは、今に始まったことではありませんでした。
職場が変わっても繰り返し同じような扱いを受けるのは、相手や環境に問題があるのではなく、傷ついたリトル・ミーが幸子の心にいることに起因しているのではないかと、大和は推測したのです。
ではなぜ、自分でも覚えていないような過去の記憶が、大人になった今でも影響を及ぼすのでしょうか。
「三つ子の魂百まで」という有名な諺があります。
「三つ子の魂百まで」とは、「幼いころの性格は、大人になっても変わらない」
という意味で使われています。
つまり、柔らかくまっさらな心に刻み込まれた価値観や思考のパターンは、それほど深く根付いてしまいやすいということです。
また、この諺では「三つ子(3歳)」とありますが、たとえ3歳を過ぎたとしても、自分にとって影響の強い出来事があればそれも心の傷としてリトル・ミーを生み出します。
そうして生まれたリトル・ミーは、成長したあとも、「自分はここにいる、気づいてほしい」とサインを送ってくるのです。