血液の入れ替えで老ネズミが若返る!? 人間の「若返りの薬」開発も夢じゃない、最新のエイジング研究

『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』(早野元詞/朝日新聞出版)第1回【全4回】

「不老」や「若返り」は人類が夢見る恒久の願い。しかし、老化学研究の最先端をもってすれば、それも夢ではないかもしれません。いまや、老化のコントロールさえも現実のものとなりつつあるというのです。生命科学博士の早野元詞氏が著した『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』より、エイジング研究の最前線をお届けします。

※本記事は早野元詞著の書籍『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』(朝日新聞出版)から一部抜粋・編集しました。


エイジング・クロック(生物学的年齢の測定)が導く可能性

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

私は今、血液中のゲノムをすべて読んで、その人の健康年齢や疾患を予測する共同研究を進めています。実際に取り組んでいるのは、検死の際に得られるサンプルを活用した研究です。

日本は世界の中でも、健康診断情報がとても充実しています。ですから検死で得られるサンプルと、その方の過去の健康診断情報を突き合わせれば、さまざまなことがわかります。この知見をエイジング・クロック(生物学的年齢の測定)に活かしたい、と日々挑んでいます。

この研究がうまく進めば、1人の人間の未来がわかるようになります。つまり、ある年齢でエイジング・クロックを測れば、その人の老化度がわかる。さらに何年後にどんな疾患を発症するのか、どんな身体機能の低下が起こるのかまでわかる。人生を"未来予測"できる可能性があるのです。

自分の未来がわかってしまう、などというと抵抗を感じる人もいるかもしれません。ですが、サイエンスの力をもって、未来は不確かなものではなく予測可能であると理解すれば、エイジング・クロックの確立も人類の進歩の1つです。そのサイエンスの力をどのように利用するかは、あくまでも1人ひとりの認識次第です。ですから、私たちは来る未来に備えて、科学リテラシーを高めておいたほうがいい。

それでは、さっそくエイジング研究のこれまでの道のりを遡ってみましょう。

 

早野元詞

慶應義塾大学医学部整形外科学教室特任講師。生命科学博士。 専門は老化、エピジェネティクス。環境やストレスに応じた遺伝子発現パターンと細胞のアイデンティティを決定する後天的な老化制御に興味を持っており、化合物、ゲノム編集、デバイスによる老化の定量とコントロールを目指している。2005年よりDNA複製タイミングの制御因子の単離と解析に従事し、2011年に東京大学大学院新領域創成科学研究科博士を取得。2011年から2013年まで東京都医学総合研究所ポスドクとして研究に従事。2013年より米ハーバード大学医科大学院のデビット・A・シンクレアのラボへ留学。2014年よりHuman Frontier Science Program (HFSP) long-term fellowおよび日本学術振興会海外特別研究員。シンクレア研究室にて新規老化モデルICEマウスを構築。2017年より慶應義塾大学医学部、特任講師。

※本記事は早野元詞著の書籍『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』(朝日新聞出版)から一部抜粋・編集しました。
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