「ゴルゴですが、何か?」―不敵に笑う、群ようこ流エイジングとは

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健康に気を付けて毎日を生き生きと過ごしていても、いつの間にか近づいてくる"老い"。若いころは全く気にならなかったのに、年を取るにつれて「あれっ?」と思うことが増えてきていませんか?

たとえば、最近むせやすくなった、新しいシミを見つけた、夕方になっても顔のむくみがとれない、などなど......。大きな病気はないけれど、「なんだかちょっと嫌な感じ」としてしみじみと寄る年波を感じたとき、自分の体に心底がっかりして、過剰なアンチエイジングや若作りに走りがちです。

慌てず騒がず、自分を嫌いにならず、自然に年を重ねるにはどうすればいいのでしょうか。

 

皺もシミもいとおしむ、アンチ・アンチエイジング!

作家の群ようこさんは、著書『よれよれ肉体百科(文春文庫)』の中で"老い"についてユーモアたっぷりにつづっています。笑い飛ばしたり、ため息をついたり、ときには「あああーっ」と絶叫しながらも、老いを愉快に受け止めています。

たとえば、「皺(しわ)」の項。「ほうれい線」のように、名前が付けられてアンチエイジングのターゲットにされている皺が増えています。その一つが、目頭からほおの上部に向かってできる「ゴルゴ線」。何とも恐ろしげな名前ですが、筆者はというと......。

私も疲れた日の翌朝は、見事にゴルゴ線が出ている。でも怯えもひるみもしない。顔を洗ったあと、鏡を見ながら自分の顔に、
「おはよう、ゴルゴ」
と挨拶をし、過剰なアンチエイジング志向と闘う精神で、不敵に笑うことにしているのだ。

かといって、「どうせ年には勝てないから」と、漫然と過ごしているわけではありません。夏場でも1日の水分摂取量を守って「顔面のむくみ」を撃退したり、食事や甘い物を控えることで「起き抜けの大量の目脂」を防いだり......。できる努力は怠らず、その結果をも楽しむのが、"群ようこ流エイジング"なのです。

皺や気管支にはじまり、閉経、老眼、果ては指毛や下白髪まで。さまざまな老化がおもしろおかしく語られ、読み進めるうちに「自分はどうだっけ?」と手鏡片手に確認せずにはいられません。

誰しも、年を重ねた己の肉体からは目を背けたくなるもの。でも、ほんの少し勇気を出して、自分の体をじっくり観察してみませんか? 致し方ない変化は笑顔で受け止め、ちょっとした注意で改善できるものは改善する――。ありのままを見つめて受け入れてあげれば、たとえ"よれよれ"の体だって、いとおしく思えてくるはずです。

鏡をのぞき込んで、あなたもさあご唱和を。「おはよう、ゴルゴ」!

 

文/さいとうあずみ

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『よれよれ肉体百科(文春文庫)』

(群ようこ/文藝春秋) 

人体はどうしてこうもうまくいかないのか。薄毛や加齢臭といった悩み多きものから、足の小指、股間、鼻の下など「えっ、そんなところも?」 というものまで、身体の各部56カ所の老いを不敵に笑いとばす、腹筋崩壊エッセイ。

 

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