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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
「4週間ルール」で軟着陸すれば大丈夫
薬をやめる勇気より、薬をはじめる勇気のほうがはるかに大きいと思うのですが、どうやら世間の通念はそうではないようです。よく患者さんにも相談されます。「薬をやめて大丈夫でしょうか? 薬を減らしていくのってとても難しいですね」
今までのんでいた薬をやめると、何かよくないことが起こるのではないかという気持ちもよくわかります。そして実際に、薬によっては、急にやめると不具合が起こることも、まれにはあるかと思います。したがって、いきなりやめるのは得策ではないでしょう。
僕の場合は、「4週間ルールでやめていきましょう」とお話しています。つまり、1週間ずつ、3段階に分けて徐々にやめていくのです。もちろん症状などをチェックしながら、自己治癒力を高めながら、もしも不具合があれば少し戻しながら、慎重に減らしていきます。この4週間ルールで、今までほぼすべて、何の不具合も起きていません。
患者さんたちからはよく次のように言われます。「お医者さんはなかなか薬を減らそうと言ってくれません。こちらが提案してようやくしぶしぶ、『ではそうしましょうか』と言ってくれるだけなのです」
医者は無難な選択である「標準医療」や「現状維持」が大好きです。患者さんが薬をやめる場合、その経過を慎重に見守り、場合によってはさじ加減も加えながら、無薬状態へと軟着陸させなければいけませんが、その手間がわずらわしいということもあるのかもしれません。薬は期間限定のものであり、薬の出しっぱなしは危険きわまりないことです。
ある医者は僕に「4週間ルールなど、一体何の根拠があるのか」と反論しました。薬理学や生化学を人より余計に学んできた僕には、理屈づけや経験もあるのですが、この手のタイプにはそんな説明は通じません。
そんな場合、「では、これほどたくさんの薬を処方して安全だと言う根拠は何か? 誰がどこで試したのか?」と言うと、相手は完全に黙ってしまいます。
日本は世界の1、2位を争う薬消費国だということを、われわれは忘れてはなりません。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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