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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
薬ばかりほしがる患者も考えもの
僕が医学生のころ、薬理学の教授から「薬の処方はせいぜい3種類、多くて4種類まで」と教わりました。ずいぶんと前の話ですが、非常に納得し、今も遵守しています。常識的な感覚でも、これは納得のいく話だと思います。
何種類もの化学反応物質を同時に体内に入れたとき、どんな反応を引き起こすのかは、誰も試したことがありません。したがって、まったく予測不可能という恐ろしい事態になってしまいます。
このような事情もあり、基本的に僕はできうる限り薬を処方しませんし、自分でも服用することはめったにありません。
ただ、患者さんは薬の処方を期待します。診察を終えて、「もういいですよ」と言うと、決まったように「えっ、薬はもらえないのですか?」と、不服そうな声が返ってきます。そのたびに、薬は怖いという話をするのですが、納得いただけない方も少なくありません。
気前よく薬を処方するだけでなく、自分でもけっこうのんでいる医者が多いのには驚かされますが、やはり薬は毒物です。仮に服用するにしても、基本的には期間限定で慎重に服用するべきでしょう。医者であれば誰でも、自分が投薬したために患者さんが死にかけてしまったという肝を冷やすような経験は、1度や2度くらいではすまないと思います。
とくにお年寄りの場合、眠れない、膝が痛い、腰が痛い、食欲がない......と、愁訴が次々に現れてくる傾向にあり、優しい先生方は、その都度、薬を処方して足していきます。
しかし、気づけば薬が10種類にも20種類にもなっていて、薬をのむだけでおなかがいっぱい、栄養失調になってしまった......という、まるで笑い話のようなことも、現実に起こってくるのです。
薬は確実に自己治癒力を損ね、寿命を縮めます。服用は必要最低限にとどめ、あとは自己治癒力を信じてあげてはいかがでしょう。
安易に薬を出す医者も悪いのですが、安易に薬をほしがる患者もよくありません。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
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