アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第19回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の手指のしびれ」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急に手指がしびれる、こわばって動かしにくいなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で手指がしびれやすくなることがあります。
手の親指から薬指にかけてしびれや痛みを感じる症状(手根管症候群)も更年期の女性に多いと言われています。
私の対応したお客様でも、更年期が気になりだした頃から手指のしびれが悪化して、料理や買い物が思うようにできないとお悩みの方がいらっしゃいました。
このまま家事もできなくなったらどうしようと気が滅入る毎日を送っていたそうです。
そんなMさん(50歳)が漢方で手指のしびれを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の手指のしびれの原因とは?
更年期やプレ更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因です。
女性ホルモンが減少すると、手指の関節や腱のまわりの滑膜に炎症を引き起こしたり、血液の循環が悪くなったりして手指のしびれが生じると考えられています。
漢方医学的には、「不通則痛:通ぜざれば則ち痛む」とあるように、特に血や水の流れが滞ることによってしびれや痛みが起きると考えます。
女性は月経の度に血(血液)を消耗するため、更年期になると血が不足し、血から栄養を与えられる気(生命エネルギー)の量や巡りが悪くなります。気血の巡りが悪くなると水(水分)も滞ってしまうのです。
2.主婦失格?手指のしびれがつらくて料理も買い物もできない!
50歳の専業主婦Mさんのエピソードをご紹介します。
料理好きで、ご主人と高校生の息子さんのために美味しい食事とお弁当を!と腕をふるう毎日をお過ごしでした。
48歳頃から、暑くもないのに顔がほてったり、下半身の冷えが悪化したりと、『もしかして更年期かしら・・・』と感じるようになったそうです。
でも、病院に行くほどではなかったので気にしないように過ごしていたとのことでしたが、最近になって手指のしびれに悩まされているとのことでした。
手がしびれたり動かしにくいため、料理もスムーズにいかないことも増えてお困りでした。
「料理には新鮮な材料を使いたいので2日に1回は買い物に行くのですが、手指のしびれが悪化してからというもの、重い荷物を持って歩くのが本当に辛いんです。夫に愚痴っても『じゃあ、ネットスーパーを使えばいいじゃないか』と冷たく言われるだけで、心配も協力も全くしてくれません。
仕方なくネットスーパーを使おうと思ってインターネットで検索してみましたが、普段使っているスーパーでは宅配サービスを取り入れておらず、行ったことのないお店の食材を買うのも心配で・・・。結局、毎日買い物に行くようにして1回あたりの荷物量を減らしています。整形外科も受診したのですが、骨には異常はなし。飲み薬を処方されましたが、なかなかしびれは改善しません。料理も買い物もできなくなったら主婦失格だわ、でも年だし、もう一生このままなのかなと諦めていました」
同じ年の友人から「更年期の痛みやしびれには、ホルモン治療という方法もあるらしいよ」と聞いたものの、ホルモンという言葉になんとなく抵抗があって治療に踏み切れなかったそうです。
そんなときに、テレビで更年期の手指のしびれには漢方も効くことがあると知り、漢方専門の病院を探して受診したとのことでした。
「痛みやしびれに漢方が効くのか実は半信半疑だったんです。でも、漢方を飲むようになってから、だんだんと手指の動かしにくさが改善して、しびれも和らいでいきました。たまに朝だけ少し違和感があることもありますが、一日中続くことはありません。手指のしびれは一生治らないと諦めていたので、元の通りに買い物も料理もできるようになって本当にうれしいです。
しかも、しびれだけでなく、冷えやのぼせも気にならなくなって体の調子もとてもよいです。このまま更年期も元気に過ごしていきたいと思っています」
うれしそうにお話してくださったMさんの笑顔が印象的でした。
3.更年期の手指のしびれは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による手指のしびれかもしれません。
<これって更年期の手指のしびれ?チェックリスト>
・朝起きた時に手がこわばる、動かしにくさを感じる
・手の感覚が鈍くなった
・暑くもないのに汗をかいたり、のぼせたりする
ただし、しびれや痛みの症状が悪化する場合は、自己判断せずに整形外科などを受診するようにしましょう。
「できるだけ体に負担のない薬がいい」「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方には漢方薬がうってつけです。
漢方は数千年の歴史を持つ伝統医療です。
これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
古臭いからあやしいというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、長年の臨床経験をもつ信頼できる医療です。
また漢方は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちの体の摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような不調の根本解決を目指したいときに、その力を発揮してくれます。
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Mさんが服用した漢方は産婦人科の三大漢方薬のひとつ「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」でした。
桂枝茯苓丸は、血の滞りを解消して手指のしびれを改善する漢方です。
更年期の手指のしびれの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の手指のしびれにおすすめの漢方>
●冷えやめまいも気になる方:桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
水の巡りや血行をよくし、からだを温めて、しびれを緩和する漢方薬です。
●足腰の痛みやしびれ、月経不順も気になる方:疎経活血湯(そけいかっけつとう)
血を補い巡りをよくしつつ、冷えや湿気からくる痛みをちらし、しびれを改善します。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.手指のしびれは我慢せずに漢方で改善しよう!
「最近、指の感覚が鈍くてしびれる」
「手指のこわばりが気になる」
その手指のしびれの原因は更年期かもしれません。
漢方でからだの内側から改善して、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!