健康で長生きするために重要なのは、自立した生活を送り続けること。そのためには、脳と体を若々しく保ち続けることが必要となってきます。こころと体のクリニック 院長の和田秀樹(わだ・ひでき)先生に「『筋力・体力の低下』を防ぐ方法」についてお聞きしました。
【前回】幸せホルモン「セロトニン」を増やすには? いつまでもハッピーに過ごすための「5つルール」
脳から若返る方法:「筋力・体力の低下」を防ぐ
ウォーキングよりゆったりと散歩をする
筋力や体力の維持にと過度な運動は厳禁。
かえって疲れやすくなると、和田先生。
「おすすめは散歩。足腰の老化を予防し心肺機能を高め、日を浴びることでセロトニンも分泌されます。また、四季折々の草木を眺めたり、街の変化に気付くことは、脳に快感を与えて若々しさを保ちます」。
1日30分を目標に、朝昼晩に分けて歩いてもかまいません。
ランチは外食を。脳も体も満足できる時間に
ランチを外食にすると、脳にも体にもいい効果がたくさんあります。
「大人世代は、ランチは外食がおすすめです。日本のランチは安価でありながら、和食や中華、イタリアン、フレンチ、韓国など、バラエティー豊か。地方にお住まいで近所にお店がない場合も、少し遠出をしてランチに出かけるだけで、プチ旅気分を楽しめるでしょう。外で食べる習慣がある限り、たんぱく質不足や栄養不足になる心配も薄れます」(和田先生)
掃除、洗濯、洗い物...家事は立派な運動
「家事は脳と体の老化予防に最適です。年齢を重ねてからこそ、家事を楽しめるといいですね」と、和田先生。
掃除や料理、洗い物、洗濯物を干す、買い物に行く...といった家事は、立派な運動だといいます。
「運動に限らず、体をこまめに動かすことが大事なのです。面倒くさいと思ったときこそ、逆に動いてみるとすっきりすることも。いまある能力を維持するためには、日常生活の中で体を動かすことがいちばんです」
運動するならスローな動きを
何歳になってもできることはキープする、運動も同じだと和田先生。
「運動のやり過ぎは体内で活性酸素を作り過ぎ、体を酸化させてしまいます。運動をするならば、ウォーキングや水中ウォーキング、太極拳といったゆっくりとした動きがおすすめ。運動が苦手な人は、買い物に行く、趣味のサークルに参加するなど、好きなことをするために動き回るといいでしょう。脳と体に快適な刺激となります」
お風呂はぬるめの湯で。浸かる時間は10分以内
入浴中に意識を失い、浴室で亡くなる事故は、交通事故死の2倍といわれます。
「入浴中の事故を防ぐには、ぬるめのお湯に浸かること。熱い湯が好きな人は、ぬるめに設定し入ってから追いだきをして温度を上げます。浸かる時間は長くて10分、できれば5分以内に。立ち上がるときは、ゆっくりと少しずつ。家族と同居の人は、"お風呂に入るよ"と一声かけることもお忘れなく」(和田先生)
《夜中、目が覚める人はご注意!》
「夜中に度々目が覚める」「食欲がない」「気分が落ち込む」ということがあったら、うつの可能性があります。かかりつけの医師に相談してみましょう。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/藤田ヒロコ