突然、介護者(介護をする人)になったとき、知識がないと皆混乱します。そんなときに重要なのが、介護の始まりから最後まで関わることになるケアマネジャーです。ケアマネジャーとの付き合い方や選び方について、NPO法人UPTREE代表でご自身も介護者としての経験を持つ阿久津美栄子さんに伺いました。
2回目は、ケアマネジャーの選び方についてご紹介します。
前の記事:「ケアマネジャーってどんな人?/より良い介護生活はケアマネジャーから!(1)」はこちら。
前職や保有資格で選ぶのも1つの方法
ケアマネジャーは介護の専門知識を幅広く持った専門家で、医療や保健、福祉の現場で5年以上の経験を積んだ上で取得できる資格。看護師や介護職経験者が多いですが、作業療法士、栄養士の人もいて、前職により得意分野が異なります。例えば、ホームヘルパー経験者は介護現場の理解が深く、配慮が行き届いた計画が得意なことが多いでしょう。看護師ならば医療の知識を生かした計画を用意することもできるでしょう。どのケアマネジャーがいいか、原則としてサービス利用者が選ぶことができるので、前職を加味して選ぶのも一つの手といえます。またケアマネジャー1年生もいれば、経験10年以上のベテランもいます。「経験が豊富=いいケアマネジャー」ではないので、経験が少なくても信頼できそうな人であれば、一緒に成長していくのもいいでしょう。
また、ケアマネジャーには"中立性"も重要な要素になります。例えば、どこの介護サービスを利用するかは介護者や要介護者が決められます。しかし、ケアマネジャー自身が所属する居宅介護支援事業所の運営会社が提供するサービスばかりを意図的にすすめたり、不必要なサービスがケアプランに加えられていることが問題になることがあります。客観的に介護者と要介護者の状況を見て、指示や情報を与えてくれる人かを見極めていくことが大切だといえます。
こんなとき、どんなケアマネジャーがよい?
◆リハビリに重点を置いたケアプランにしたい!
⇒看護師のほか、人数は少ないですが理学療法士や作業療法士など医療従事者がおすすめです。
◆どのような介護にすべきか、根本から相談したい!
⇒介護福祉士やホームヘルパーを経験したあとのケアマネは、介護現場をよく理解しているので、いいアドバイスをしてくれるでしょう。
◆地域の情報を知りたい!
⇒同じ地域で長く経験を積んでいる人は、地域の情報に詳しい傾向があります。地域のネットワークに精通していることでたくさんの情報を与えてくれます。
次の記事:「こんなときどうする? ケアマネジャーとのトラブル対処法/より良い介護生活はケアマネジャーから!(3)」はこちら。
阿久津美栄子(あくつ・みえこ)さん
1967年生まれ。NPO法人UPTREE代表(http://uptreex2.com/)。NPO法人介護者サポートネットワークセンターアラジン元理事。子育て中に両親の遠距離介護を経験し、介護者の居場所を作る活動を行う。2016年、母子健康手帳の介護版ともいえる「介護者手帳」を制作。