老後資金のために「投資」を考えているけど、ちょっと怖い...そんな人にまず知ってほしいのが「金融のイロハ」です。そこで、資産運用のプロ・山崎元さんに、金融知識が全くない大橋弘祐さんが質問する形式で分かりやすいと好評の著書『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)から、投資の初心者が知っておきたい「投資と貯蓄の疑問」をお届けします。
日本経済ってやばいの?
――先生。日本国債って日本の借金なんですよね。そんなの買って大丈夫なんですか?
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どうして、そんなふうに思うの?
――だってほら、よく見かけるじゃないですか。日本は借金が1000兆円もあるから、借金が返せなくなって、国が破綻するってニュース。ギリシャみたいに破綻するってことだってあるんじゃないですか?
ギリシャはまだ破綻していない。破綻しそうになっただけ。(2015年9月時点)それに、日本が多額の借金しているのは事実だけど、ギリシャとはだいぶ状況が違う
――どう違うんですか?
日本国債の買い手ってほとんどが日本国民だから、もし日本が国債の借金を返せなくなったら、お金をたくさん刷って、国民に返せばいいの。でも、ギリシャの場合は他の国からお金借りてたし、使っているお金がユーロだから、お札刷って返すってことができない(図2)
――そんなことして、大丈夫なんですか?
まあ、そうなったらインフレになるだろうね。でも、そもそも日本ってそんなに悲観するほど危険じゃない。リーマンショックで世界の金融市場が混乱したとき、世界の投資家たちが安全資産として買ったのが『円』だった。日本は他の国と比べて相対的に安定している。もちろん日本国債が絶対安全だとは言えないけど『日本経済が破綻するまではかなり先』と考えといていい
――そうなんですね......
みんな『国がなくなる』っていうニュースが好きなの。だから中国と戦争になるとか、日本経済が破綻するとか、危機を煽る人たちがいて、『日本崩壊』『金融破綻』なんて言葉がテレビや雑誌に出る。そうすると、今度は金融業界の人たちが、日本円を持っているのは危険だからと、日本が破綻しても安全な金融商品を勧めてくる。それで、君みたいに心配症な素人は、言われるがまま買ってしまう。でも、そんなの壷と一緒だから
――壷、ですか......
そう、壷。『あなたには悪い霊が憑いています。だからこの壷を買ったほうがいいです』って売りつけてくるのと一緒。心配させといて高いもの売りつけるのは商売の常套手段だから気をつけて
――は、はい......
[まとめ]
・日本は多額の借金をしているが、国の財政が破綻する可能性は極めて低い。
・「財政破綻」などのニュースに動揺して、怪しい金融商品に手を出さないようにする。
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