一億総活躍が推奨される現在、子育て世代も含めて、共働き世帯が急増しています。リクルートが昨年末に発表した住まいに関する2018年のトレンドによると、「職住近接」から「育住近接」にシフトしていくと予測されています。
「職住近接」は、職場と住居の距離が近いこと。都心志向や駅近志向を指しています。最大のメリットは通勤時間を節約できることですが、子育て中の家庭にとって最も重要な保育園の確保が難しいというデメリットもあります。その悩みを解消してくれるのが、マンション内に保育園や学童保育を併設する「育住近接」という考え方です。
保育園や学童が近ければ、駅が遠くても大丈夫
株式会社リクルート「2018年トレンド予測・住まい領域」より
子どもの送迎は共働き夫婦にとって大きな負担です。寄り道をすることになるので通勤時間が長くなりますし、帰宅後親子でゆっくりと過ごす時間も削られてしまいます。しかし育住隣接のマンションなら、送迎時間を考える必要がなくなります。
株式会社リクルート「2018年トレンド予測・住まい領域」より
2017年11月に行われた調査では、保育園や学童が併設されていれば、駅からの距離が遠くても我慢できる人が増えているようです。子育て環境の充実こそが、育児世代にとって最重要というわけですね。
また、子供が小学校に上がるころになると、塾やピアノ、スポーツなどの習い事にも通わせるようになりますが、その時も「家からの近さ」や「親が送迎できる時間かどうか」が重視されます。学童に追加してほしいサービスでも「宿題を見てくれる学習指導」や「長期休暇時の特別プログラム」、「習い事・熟のような活動」が上位に来ています。親が帰宅してからではなく、帰宅前に習い事ができれば、その後の夕食、お風呂などの時間にも余裕が持てるため、「習い事の近接化」も今後のトレンドになりそうです。
同じ立場の家族が集まれば支えあえる
育児世代の抱える問題は保育園不足だけではありません。核家族化や価値観の多様化が進んだ結果、子育てに関する悩みを気軽に話せる相手や場も少なくなりました。育住近接を前提としたマンションなら、子育て仲間を作ったり、育児に関するさまざまな情報を交換したりも気軽にできます。同じ立場の人が近くにいれば、孤立してしまう可能性も減って、心強いですね。
交流イベントやワークショップの開催、お互いに託児や送迎を頼り合うシステムなど、育児世代に向けた新しい試みをするマンションも最近は出てきました。親子そろって交流できるので、同じマンションの住人は顔見知りばかりになり、なにかトラブルが起きても安心できそうですね。
株式会社リクルート「2018年トレンド予測・住まい領域」より
共働きが当たり前の現代では、安心して子育てできる住環境は育児世代にとって、なにものにも代えがたい価値があります。これから子どもを持とうと考える夫婦にも、すでに子育てを終え、孫世代の育児の手伝いを始める夫婦にも、育住近接は素晴らしい考え方だと言えそうですね。保育園つきの大規模マンションの建設は、国から推奨されているので、今後、育住近接はますます浸透しそうです。子育て世代にとって、より住みやすい街になるように、期待して動向を見守りましょう。
文/城山さくら