1000万円の貯金と毎月15万円の収入があれば介護生活がしのげる/介護破産(27)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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前の記事「介護にかかる費用の平均は7.9万円(月間)/介護破産(26)」はこちら。

実際、筆者が担当していた高齢者のなかには、体調を崩して入院費用などの医療費に使い過ぎ、在宅介護をはじめるときにはすでに蓄えを失い、厳しい介護生活を送らざるを得ないケースも少なくなかった。
厚生年金受給者を例にとると、年金受給額が毎月一人平均15万円前後であれば、一定の介護サービスを受けるという選択が可能となる。

先の公益財団法人生命保険文化センターが実施した調査によれば、介護生活をはじめるにあたり、色々なものを揃えたりする際に必要な初期費用と、介護保険サービスの自己負担費用、そして、住宅改造や介護用ベッドの購入などすべて含めて、平均80万円となっている。

それに加え、毎月かかる介護費用を平均値である7.9万円と仮定すると、1000万円の貯金と、毎月15万円前後の収入があれば、贅沢をしなければ、しばらくの間は「介護」が必要となってもしのげるのだ。

入院費(施設入所費)や介護生活の初期費用として、多めに見積もって200万円程度かかったとしよう。とすると、預貯金は残り800万円となる。毎月入ってくる15万円前後の年金と、月々5万円を預貯金から引き落とせば、計月20万円の介護費用と生活費用が、13年間分工面できる。公益財団法人生命保険文化センターが実施した調査では、介護経験者が介護を行なった期間は平均4年11か月だったことから、金銭的な面ではまず問題ないと思われる。

  

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

長寿は「悪夢」なのか!? 介護によって始まる老後貧困の衝撃!
介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。本書では現在介護生活を送っている人々の生の声をルポしつつ、介護をするにあたり知っておきたいお金のこと、法律面のことなどに言及。介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法論を記した一冊です。

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