【40代のお金プラン】教育と介護と定年後、どうする?/一生お金に困らない(10)

将来の不安を感じさせる「お金」の問題。そんなお金に人生を振り回されないためには、「知恵が必要」だと経済コラムニストの大江英樹さんはいいます。そこで、大手証券会社で長年にわたり個人の資産運用業務に携わってきた大江さんの著書『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)から、将来の不安をなくせるお金に関する知恵と備えるべき年代別ポイントを連載形式でお届けします。

pixta_72967510_S.jpg

40代は「考える時代」

その昔、孔子が『論語・為政』の中で述べた言葉の中に「子曰く、(中略)四十にして惑わず」という一節があります。

ここから、40歳を「不惑の年齢」とも言いますが、これは恐らく「人生五十年」と言われた時代のことですから、現代のように人生百年の時代を迎えると、40歳でもまだ大いに惑いや悩みはあるでしょう。

むしろ、40代というのはサラリーマンであれば、人生においても会社生活においても折り返し地点ということになりますから、ここは大いに考え、迷ってもかまわないのです。

ここでじっくりと考えておくことが充実した後半戦につながると考えるべきでしょう。

そう、40代は「考える時代」なのです。

老後資金のことを考える

一般的に人生の三大費用と言われるのが「住宅取得費用」、「子供の教育資金」そして「老後の生活資金」です。

しかしながら、現代においては、この三大費用は人によって大きく異なります。

例えば「住宅取得費用」ですが、家は買うべきか借りるべきか、というのはその人の考えかたですから、必ずしも誰もが住宅を購入するわけではありません。

また、中には一人っ子で親が住んでいた家にそのまま住む人もいるでしょうから、そういう人にとっては、住宅取得費用は発生しません。

同様に、子供の教育資金も子供がいれば必要ですが、少子化や未婚化が進む時代ですから、子供がいる世帯ばかりではありません。

したがって「子供の教育資金」というのも必ず発生する費用ではありません。

ところが「老後の生活資金」だけは誰にも例外なく必要が生じてきます。

歳を取らない人はいませんし、誰もが生涯現役で働けるわけではないからです。

ですから、40代でまず考えるべきことは、「老後の生活資金について」と言って良いでしょう。

とは言え、実は40代というのはなかなかお金を貯めにくい年代でもあります。

会社においては管理職になり、それまでよりも収入は増えますが、その分、税金や社会保険料も負担が大きくなるからです。

加えて前述の教育費や住宅ローンがあるとすれば、その負担が一番重くのしかかるのがこの年代です。

事実、年代別の貯蓄残高を見ても40代は伸び悩んでいることが見て取れます。(*1)

(*1) 総務省「家計調査報告」(貯蓄・負債編)2019 年平均結果

したがって、この年代では資産作りのために特に新しく始められることはあまりなく、例えば30代から始めた「積立投資」を続けること、そしてムダな支出がないかどうかを確認することが主なものだろうと思います。

子供の教育資金を考える

前述したように、子供のいない家庭であれば、この項目は必要ありませんので、読まなくてもかまいません。

でも子供がいれば「教育資金」というのはかなり負担の大きいものです。

私自身二人の娘がいましたが、下の子供が大学を卒業して学費が不要になったとたん、ずいぶん生活が楽になったと感じた記憶があります。

では、教育費というのは具体的にどれぐらいかかるのでしょうか?

平成30年度のデータによると、一人あたり、幼稚園から大学まですべて国公立であった場合で約1080万円、すべて私立であった場合は約2560万円となります。(*2)

(*2) 文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」住宅金融公庫「平成30年度教育負担の実態調査結果」

やはり相当な金額ですね。

このうち、特に大学にかかる費用はその割合が高く、公立の場合で539万円、私立の場合だと730万円です。

まず考えるべきなのは、この費用をどうやって作るかということよりも誰が負担すべきか、ということです。

高校までは親が負担するのは当然かもしれませんが、大学については考える必要があります。

教育資金と老後資金というのはトレードオフの関係になりがちです。

つまり、子供のために親が無理をして学費を負担したために、老後資金がなくなってしまうということもあり得ます。

その結果、将来、老後の面倒を子供に見てもらわなくなってしまったのでは本末転倒です。

もしさまざまな出費が多くて、子供の大学進学のための資金が十分に用意できないということであれば、これについては子供とよく話あって、「大学へ進学するかどうか」「そのための資金はどうするか」、そして「奨学金を利用するかどうか」等について方針を決める必要があります。

親の介護を考える

40代ということは親の年齢は70〜80歳ぐらいでしょうから、ぼつぼつ親の介護が問題になってきます。

2000年に始まった公的介護保険制度によって経済的な負担は軽くなったものの、それらのすべてを子供である自分達が負担するというのはかなり大変なことです。

介護に関わる費用は、公的介護保険の活用に加えて、原則は介護される当人の負担で行うべきだと思います。

当然、親の場合も同様で、自己負担分は親に出してもらえるならそうすべきです。

逆に自分の介護の時も子供に迷惑をかけないようにすることが大切です。

したがって、親がまだ元気なうちにお金の話はきちんとやっておくべきでしょう。

ところが現実にはお金のことに関してはなかなか親と話しづらいものです。

何も話題のないまま、「お金の話をしよう」と言っても訝しがられるだけかもしれません。

ところが介護の話題であれば親も関心はあるでしょうから、抵抗なく話をすることができるのではないでしょうか。

また、親の介護はお金の問題だけではありません。実際に誰が面倒を見るのか、地域の公的支援を受けるためにも、誰にどんな手続きが必要なのかを把握することが大切です。

もし兄弟がいるのであれば、あらかじめ話をしておくことも必要です。

「親の介護」というのは40代で考えるべき重要なことでしょう。

60歳以降の働きかたを考える

40歳が会社生活の、そして人生の折り返し地点だとすれば、いずれやってくる定年に向けて、その後の働きかたをどうするか考える必要があります。

ところが、40代というのは働き盛りで、会社でも管理職の第一線として活躍している人が多いはずです。

そんな時期に「定年後はどうするか考えましょう」と言ってもあまりピンとこないでしょう。

具体的に動くのは50代に入ってからで良いと思います。

ただ、40代にもなってくれば、今までやってきた仕事が自分にとって心地よいものか、言い換えれば「好きな仕事」なのかどうか、そして今後も続けていきたいと思えるのか、がわかってくるでしょう。

もっと端的に言えば、60歳以降も可能であれば今の仕事を引き続きやりたいと思えるかどうかです。

ひょっとしたら、自分が本当にやりたい仕事、自分に向いているのは別の仕事かもしれません。

でも、今は会社の中にいて仕事で中心的な役割を果たしていますから、好きとか嫌いとかは関係なく、今の仕事を頑張るしかありません。

ところが60歳になると、そこからの状況は全く異なります。

生活のために働くというよりも、楽しむために働くことができるからです。

だからこそ、60歳以降の働きかたについて、準備するのは50代に入ってからでもかまいませんが、考えることだけはぜひ40代からやっておいたほうが良いと思います。

【最初から読む】保険に入りすぎてはいけない理由

【まとめ読み】「一生お金で困らない」記事リスト

165-c.jpg前半3章でお金に対する考え方や知識を、後半3章で実際のお金をどう扱うかの具体的な年代別戦略モデルを資産運用のプロが徹底解説しています

 

大江英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表。CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプラニング技能士。大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金法が施行される前から確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。主な著書に『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版)『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などある。

165-c.jpg

『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』

(大江英樹/すばる舎)

お金の持つ本質的な意味と、働き始めてから定年後までの年代別対策法など、「一生もののお金の知識」が身に付く一冊。公的年金と社会保険の真実や、今の生活、老後に必要な具体的な金額もわかります! お金の大原則を知ることができれば、将来の不安は解消されるはずです。

※この記事は『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごし方』(大江英樹/すばる舎)からの抜粋です。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP