「亡くなった父は、80歳を過ぎたころから、終活を始めました。『戒名はいらないよ』とよく言っていましたが、私は戒名については深く考えずにいました。そんなある日、父が入居する施設に親戚たちが見舞いにきてくれました」

■「戒名はお前がつけてくれ」と言う父
80歳の頃、養護老人施設に入所していた父が終活を開始しました。
元来几帳面な父は、実家の土地問題にはじまり、お中元お歳暮のやりとり、年賀状までいろいろなことを心配していました。
私にもよく終活の内容を話してくれましたが、必然的にお金に関する話題に。
秘書として74歳まで現役で働いた父。
早朝から深夜まで頭と神経をすり減らす姿を見て、私は父を尊敬していました。
その思いから、お金の話になったときにはこう伝えました。
「葬儀にかかる費用200万円を残しておいてくれたら、あとは全部好きに使っていいよ」。
父は「200万かぁ~、死ぬのも金かかるなぁ」と笑っていました。
でも、その時、私は戒名(法名)のことをすっかり忘れていたんです。
生前父は「戒名なんていらないから。なんならお前がつけてくれ。お前が生まれたときは俺がつけたんだから、今度はお前がつけるといい」と言っていました。
「俺うまいこと言うだろ?」と言わんばかりの顔をして笑っていた父。
でも、代々続く旧家の長男に戒名がないなんてことになったら、口うるさい大勢の親戚に何と言われるかわかりません。
ですが父は頑なに「戒名はいらない」と言っていました。
そんなある日、親戚たちが父の施設にお見舞いにきてくれました。
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