アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】「食べ物を扱って毒物混入や食中毒があったら?」PTAの学校祭出し物決めでひと騒動⁉
文化委員長と行事委員長の二人から「毒物混入や食中毒などの万が一の危険を考えてうどん屋はしたくない」との相談があり、「他の物でもいいんじゃないですか?」と私は答えた。
両委員長はホッとした様で、次回の定例会で意見を図るように話した。
PTAが学校行事に参加するのはある程度は決められた事だが、内容はその時の委員さん達で決められるべきだと思う。
納得の行かない事を嫌々行うと、必ずほころびが出てミスが起こる。
高校の委員は基本3年間なので、納得の行く内容で楽しんで参加して頂きたい。
定例会の数日前、文化・行事両委員長からメールで相談があり、それぞれの委員会で「別の出し物でも良いらしい」との事を報告したら委員さん方は皆安心して喜んだらしい。
そして今年はうどん屋ではなく、某ドーナツ屋から仕入れてパックジュースも一緒に販売したいとの事で決まったと言う。
「これでどうでしょうか?」との問いに、「委員会で決まった事ならとりあえずは良いんじゃないですか? 私がどうこう言うんじゃなく、定例会で皆さんにご意見を頂きましょうね」と答えた。
今までの会長なら「毎年決められた事だからそれに従って!」と言うところなんだろうが、正直言ってPTAなんてボランティアの団体なんだから「従え」と言う事は無い。
それに会長はあくまでも組織の長なだけであって、絶対権力者ではない。
「今年はドーナツ屋かぁ」と、私は楽しみになって来た。
そして定例会当日、まず最初に副会長の下条さんがしでかした不祥事を説明すると委員さん達から驚きの声が聞かれ、辞意のFAXが届いたのでそれを承認するか審議し、全員一致で下条さんの辞任が決まった。
続いて「学校祭模擬店参加について」との議題で文化・行事両委員長から提案があった。
文「...と言う理由で、直接口に入る物を自分たちで調理して提供する事に抵抗があるとの意見が多く、購入品の販売にしたいと考えています」
行「商品は某ドーナツを当日の朝お店に搬入してもらい、ジュースは量販店で購入した物をと考えています」
当時は本当に大きく報道された毒物事件だったので、出席した委員の皆さんが「なるほど、そりゃそうだ」と納得した表情だった。
「皆様、これを文化さんと行事さんの担当だと思うのではなく、それぞれ自分の担当だったらとお考え頂ければと思います。基本内容に関して強制権は無く、今までうどん屋さんが継続されてきただけで、それぞれの委員さん達が今年はこれをしたいと言う物があればそれで良いのではないかと私は思います。どうしてもうどん屋でなければならない決まりはないですからねぇ」
委員の皆様は他人事ではなく、自分の事と考えてくれたようで頷きながら聞いてくれる方もいた。
行「お手伝いの方の出席を先日お願いしたんですが、(学校祭が)平日なので人数が集まりません」
文「文化も同じです。うどん屋さんにするのであれば手が足りません。ドーナツ屋さんなら少人数でも十分です」
本部役員達には定例会で発言があるとあらかじめメールで知らせていたので異論は出ず、そろそろ決を取ろうと思ったその時だった。
「はい!!手が足りないってどういう事ですか!?委員長なら人を集める事が仕事じゃないんですか!?」
発言したのは1年の学年委員長だった。
「私は昨年行事委員長でした!一軒一軒電話をして人を集めて大変でした!それをお二人はされたんですか!?」
そう、この1年学年委員長は、今年3月に上の子が卒業して4月に下の子が入学した吉田さんだった。
総会で退任した元3年の一人で、この方が仕切っていたから文化も行事も昨年誰一人反対が言えなかったのだろう。
文・行「お願いはしました!でも皆さんから万一の事があったら怖いと意見が出まして。そしてやはり平日の行事にはお仕事の都合で無理だと言われまして」
吉「それを何度も電話をしてお願いするもんでしょう!行事委員が行事に出て来れないなんておかしいでしょう!」
いや、おかしいと言われてもそれぞれの家庭事情があるんだから仕方がないでしょうよ。
「おかしいと言われましても基本ボランティアでご協力いただくんですから、出て頂ける方のご意見でまとめて行くべきじゃないですか?」
吉「それを説得するのが委員長の役目でしょ!私はやってました!」
「昨年は昨年で、今年は今年の委員さん達で決めるもんじゃないんですか?」
吉「うどん屋さんはこのPTAの伝統です!私もそう言われてきました!」
「いやそれはあなたがそう判断しただけであって、私はうどん屋が伝統だなんて聞いた事がありませんよ?今年の委員さんが内容に納得が行かないから他の物にしたいと言うのなら、それを尊重するべきじゃないですか?うどん屋じゃないと何か不都合でもあるんですか?」
吉「.........」
「それでは決を取りたいと思います。文化さんと行事さんからの、今年はドーナツ屋さんをしたいとのご意見に賛成の方は挙手をお願いします」
委員さん達が手を挙げる中、吉田さんは手を挙げなかった。
ん?本部役員で監査の江口さんも手を挙げていない。
ん?ん?
「では今年はドーナツ屋さんをすると言う事で、文化さんと行事さん、よろしくお願いします」
文化委員長と行事委員長が、本当にホッとした顔になっていた。
その夜の事だった。
携帯が鳴ったので液晶画面を見ると(当時はガラケー)、そこには元PTA会長の米沢さんの名前があった。
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