アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】多忙すぎるPTA会長...会議室のリフォームのため、2週間学校へ通い詰め。そして大事件が勃発
ある日のこと、PTA担当の倉木先生から慌てた声で電話が掛かって来た。
「今さっき下条さんから電話があって!!」
「下条さん!? 下条さんがどうしました!?」
「酔ってるみたいで、『校長出せー!』って電話してきて!」
「えーーーーー!!」
私は我が子が通っている学校の校長に、保護者が酔って怒鳴り込みの電話をするなんて思いも付かずに頭が真っ白になった。
「それでなんて言ってるんですか!?」
「とにかく切っても切っても掛け直してきて! 今やっと諦めたみたいなんです!」
「それで校長にはかわったんですか?」
「最初に受けたのが僕ではないんで、校長にかわったみたいで。とりあえず(校長が)切ったみたいなんですが、何度も掛け直してきて...僕が呼ばれて対応しても『校長を出せ』の一点張りで...」
「ど、どうしたらいいですか!!」
さすがに今までの役員人生でもこんな事は経験が無い。
「とりあえず今から会長来れますか?」
「はい! 行きます!」
急いで支度をしながら、会計の黒木さんに詳細と今から謝罪に行く事だけメールを送った。
取る物もとりあえず駆けつける方が良いのだろうが、学校近くにある高級洋菓子屋で一番お高い菓子折りを買って学校に向かった。
落ち着け自分。
この菓子折りは経費で出るかなと思わず考えてしまうが、とにかく下条さんのしでかした事に理解が出来ない。
学校に着くなり職員室に飛び込み倉木先生に事情を聴くも、電話の内容以上の事は分からないと言う。
とにかく謝罪をするために校長室に向かい、入るなり頭を下げて謝罪した。
「この度は本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」
「いやぁ会長さん♪わざわざ来てもらう事も無いのに~。ご苦労さんですなぁ」
校長は満面の笑顔で迎えてくれたが、もうこの笑顔が鬼の首でも取ったように見える。
菓子折りを渡し、何度も頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
校長はソファーにふんぞり返りながら、ずっと笑っている。
私が会長になってからと言うもの、学校や教職員への金銭的便宜をすべて断るようになったので、行事やイベント事で顔を合わせても校長から無視されるようになっていた。
頭を下げる私を見て、さぞや溜飲が下がった事だろう。
「いや会長さん、もうかまへんから。PTAとはこれからも仲良ぅして行かなあきませんし」
立場上謝罪するのは致し方ないにしても、校長の笑顔を見ていると悔しさが込み上げてくる。
コレはコレ、ソレはソレだからな。
校長室を出て倉木先生に今後の相談をすると、それはPTAで決める事だからと言われた。
駐車場に停めていた車に乗り、携帯電話を開くとそこには黒木さんから心配したメールが何通も送られてきていた。
帰宅してから黒木さんに電話をしたい気持ちはあったが、まずは下条さんに連絡を取る方が先だ。
実は家を出る時や学校に着いた時にも何度も電話を掛けてみたが、留守電に切り替わる事もなく出ない。
黒木さんも何度も自宅や携帯に電話を掛けてくれたようだが、そちらも出ない。
留守なのか? いや留守なはずがない。
下条さんの自宅は留守の時は必ず留守電になっていたので、絶対に自宅にいると思った。
このまま下条さん宅に電話を掛け続けていたも埒が明かないので、黒木さんに電話を掛けた。
「校長どうでした!!」
黒木さんは矢継ぎ早に色々質問をしてきたが、下条さんが酔って「校長を出せ!」と電話をしたので私が謝ってきた、以上のことしかない。
「で? どうするんですか!?」
私は学校から帰宅するまでの車の中で、突発的なアクシデントではあったものの、これは使えると思っていた。
「下条さんを副会長に推薦したのって、米沢さんだったよね? 今から米沢さんに電話するわ」
「ど、どうすんのよ?」
「推薦したんだから、それなりの責任を取って頂こうかと思って♪」
不安と期待の入り混じった声の黒木さんに、また連絡すると言って電話を切った。
ひとまず家事を済ませ、夕食の片づけが終わってから米沢さんに電話をした。
「はい!!米沢ですけど!!」
何の用だと言いたげな声だった。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。