「ご近所に住むNさんの趣味は絵手紙。彼女の作品はとても素敵なのですが...ちょっと困ったことがあるんです」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■「日々の感動を1枚に」手書きの絵手紙は見応えあり
ご近所に住むNさん(60代)は、専業主婦としてご家庭を支えてこられた方で、地区の役員なども長く務めていらっしゃいます。
Nさんの唯一の趣味が絵手紙です。
私は拝見したことはないのですが、自分の作品を自宅に飾っているらしく、制作順に額におさめられた作品がずらりと並んでいるそうです。
今でこそ講座なども開かれていて、メジャーな趣味の絵手紙ですが、彼女のキャリアは40年以上ということで、始めた頃はまだまだ嗜む方は少なかったことでしょう。
そんな頃から、一つの趣味を続けていらっしゃることには頭が下がります。
「日々の感動を1枚に」がキャッチフレーズだそうで、初物の野菜や野鳥の声、上手にできた炊き込みご飯など、ネタには事欠かないようです。
独特のタッチの水彩画に、含蓄ある一言を添えられた作品は味わい深いものだと、日頃から婦人会などで付き合いのある妻(59歳)から聞かされています。
■自分の作品を愛するNさん。送った絵手紙を取り戻す秘策とは?
そんな彼女にはちょっと困ったこだわりがあります。
制作順に絵手紙が飾られている、ということは、描いた作品はそのまま手元においているのだな、と思われるでしょうが、そうではないのです。
何せNさんに言わせれば「絵手紙は人に送ってこそ」なのだそうですから。
では、どうして彼女の手元に作品が残っているのでしょうか?
そうです、彼女は人に送った作品を逐一取り戻しているのです。
彼女の絵手紙は基本的にご近所や知り合いに送られるのですが、その表書きには小さく「回収させてください」と書き添えてあるのです。
普通の手紙は、受け取った人のものになりますよね。
人に送った手紙を取り戻すというのはなかなか考えつかないことですが、「人に送ってこそ」の絵手紙を自分のものとしてコレクションするために、Nさんにとってはこの秘策は当然のことのようです。
昨年、2023年のことです。
私のところにもNさんの作品が送られてきました。
きれいな夕焼けの山並みが水彩で描かれ、「みんな真っ赤」と書かれていました。
「なんで私に?」
妻ならいざ知らず、私はNさんと特に親しいわけでもありません。
突然の手紙に面食らいましたが、きれいな絵だなあ、と感心しました。
ただ初めてのことだったので、表書きの一言には気づかず、何気なく置いておいたところ、何かに紛れて見えなくなってしまいました。
「回収しに来ました」
数日経って、Nさんが我が家を訪れ仰天! 実は、なくなったことにも気づかず、Nさんが来訪するまで絵葉書のことも忘れていました。
「は? なんのことでしょうか?」
「お送りした絵手紙です。...取りに伺うと書いておいたはずですが...」
あわてて探しましたが、全く見つけられません。
「すみません...まさか、取りに来られるとは...」
恐縮していると、いかにも不満げな表情でお帰りになりました。
「...Nさん、かなり根に持ってるみたいよ」
用事でNさん宅に伺った妻によると、自慢のコレクションの最近の部分に「夕焼けの絵、ウジ様(私)に献呈」と書かれた空のスペースがあったとのこと。
今も折を見て探しているのですが、まだ見つかりません。
Nさんと顔を合わせるのが苦痛な日々が続きそうです。
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