<この体験記を書いた人>
ペンネーム:キジトラ
性別:女性
年齢:47
プロフィール:アラサーでオーストラリアへ移住。夫と2人で旅行を楽しむのが趣味の、主婦です。
2023年4月、海外在住の私たち夫婦のもとに、夫(48歳)の従兄弟のRさん(67歳、義母の姉の息子)が事故に遭ったと連絡がきました。
夫に連絡をくれたのは義姉(50歳)でした。
Rさんが交通事故に遭い、重体という突然の報せに夫は狼狽していました。
話によると、Rさんは自転車に乗っていた際、前方から来た車と正面衝突したそうです。
当時辺りは暗く、雨が降っており、車も相当スピードが出ていたとのこと。
Rさんはちゃんとヘルメットをかぶっていたそうですが、救急隊員が到着した際には、ヘルメットは割れ、すでに危険な状態だったそうです。
懸命な措置によって一命は取り止めましたが、意識がない寝たきりの状態に...。
医師からは「意識が戻ることはほぼ100%ない」と言われたそうです。
そのため、Rさんの奥さんは、家族全員が揃って最後のお別れをした後、生命維持管理装置を切る選択をされたそうです。
しかし、駆け付けた4人の子どものうち、1人が父親の悲惨な姿を目の当たりにして取り乱し、一縷の望みを持って生命維持管理装置の継続を望んだため、しばらくはそのままの状態にすることとなりました。
義姉からの電話はそういったような内容でした。
夫は幼い頃、Rさんにとてもかわいがってもらっていたそうで、呆然としながら話を聞いていました。
私もRさんとは面識があったので、かなりショックでした。
しかし、しばらく義姉と電話で話していた夫の口調が、なぜだか徐々に険しくなりました。
途中からは2人だけで話し続けたため、内容は分からなかったのですが、夫は「こんな時に何を言っているんだ」と怒鳴っていました。
電話の後に詳しく話を聞くと、義姉は神経を疑うような発言をしていたそうです。
「Rさんの意識が戻る可能性はほぼないなのに、装置を使って生かし続けるのは本人にとって残酷」
「脳が損傷しているなら、仮に奇跡が起こったとしても一生介護が必要になるだろうから、本人にも家族にとっても悲劇的になるはず」
「医療費もかかるし、私がRさんなら家族にお金の負担はかけさせたくない」
「早く逝かせてあげるのも優しさ」
など、彼女なりの自論を述べていたそうです。
「大事な家族を突然失う状況に置かれた人たちに、面と向かってそんなことが言えるのか」
と夫にそう言われ、ようやく口をつぐんだようです。
義姉は普段から自分の意見を持ち、それが正論と信じて疑わない人なのですが、状況を鑑みれば、さすがにモヤモヤせずにいられませんでした。
義姉の言い分が間違っているとまでは言いませんが、言わなくてもいいことも世の中にはあるのです。
結局、願いは届かず、意識を取り戻すことなく、3週間後に息を引き取られたそうです。
私たち夫婦は海外にいたため葬儀には参列できませんでしたが、遠くからRさんが天国へ行けるよう祈りました。
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