<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市で公務員をしています。私は還暦過ぎですが、妻(59歳)が還暦を迎えます。祝う気持ちはあるのですが...。
6月生まれの妻は今年で59歳です。
「来年はいよいよ還暦かあ...」
誕生日が近づいたある日、妻がため息混じりにつぶやきました。
「やっとシニアの仲間入りをしてもらえるわけだね」
私が冗談交じりにそう答えると、妻がこう言いました。
「ねえ、来年の私の誕生日はさ、子どもたちも呼んでお祝いしてほしいなあ」
「ああ、いいんじゃない? 俺のときはコロナの真っ只中で何もできなかったしね...」
来年の話をいまからか、と少々呆れながらも、久々の家族旅行とかもいいかも、と想像していたら、妻がこう言ったのです。
「ねえ、記念になるプレゼントとか考えてくれるよね?」
正直「?」となりました。
私のとき(2021年の12月)はたしかにコロナが流行っていて、家族で集まるのは無理でした。
ですから、家族揃ってお祝いがしたいのは分かります。
しかし、記念の品をもらうようなことはなかったのです。
私が黙り込んでいると、妻は重ねて言いました。
「ほら、もうすぐ退職でしょ? そのときに還暦も合わせてお祝いしようと思って...」
たしかに3カ月後には退職だったので、そういうことか、と思っていましたが、私は退職と同時に再任用となったため、そのお祝いもウヤムヤになったのでした。
「ご褒美に旅行とかもいいわよね。還暦記念の旅行だもの、豪華に船旅とかどう?」
これまた「はぁ?」という感じです。
というのも、2年前に私が還暦を迎えたとき、こんな提案をしたのです。
「還暦記念にさあ、派手に出かけるのは無理として、ちょっといい温泉宿で1泊旅行ぐらい、どうかなあ? 旅行支援とかもあるし...」
おずおずと持ちかけた私の提案を、妻は「無理! 忙しいんだからね」と一刀両断。
そんなことはすっかり忘れているかのような発言に、少々イラついてしまったのも仕方がないと思いませんか?
「船旅ぃ? 俺も仕事があるからなあ...」
嫌味を込めて返したのですが、妻は高笑いしながら言い放ったのです。
「どうせ再任用じゃないの! 私はきっちり退職するから一緒に辞めちゃえば?」
流石にこれには腹に据えかねるものがありました。
「はあ? そんな簡単に言ってくれるなよ。再任用とはいえ、65歳まではあてにされてるんだから。だったら俺の再任用が終わるのを待ってから行くってのはどうだ?」
「そんなのもう還暦記念だか、退職記念だか、分かんなくなっちゃうじゃない。こういうものはタイミングが大事なのよ」
妻は高笑いし、夕食の支度のために席を立ちました。
台所からはすっかり浮かれた気分の妻の鼻歌が聞こえてきます。
還暦に退職、第二の人生を謳歌しようとしているのは分かります。
かつて私もそうでしたから。
とはいえ、私のときとの盛り上がりの違いになんとも納得のいかない出来事でした。
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