アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
3カ月間の短期契約で子ども服店のアルバイトをしていた時のお話です。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】「できないの?」バイトを鼻で笑う女性店長。初心者なのにワンオペで店を回すよう命じられ...
出勤初日から色々と納得の行かない事ばかりの子ども服店のバイトだったが、そこは仕事と割り切った。
高校卒業したての女子大生・木島さんを一人残して帰った私だったが、レジを閉めに店長が来るまでの数時間どうだったのか心配だった。
翌日も午前10時からのシフトだったが、15分前に行って開店準備をする。
その日のシフト表を見ると木島さんも10時からだったが、木島さんが来たのは10時ちょうどだった。
「イマドキ」と言うと嫌な言い方だが、『10時から勤務』と言われたら10時ちょうどに来るのが若い人の感覚なんだろう。
そもそも10時開店なら少なくとも9時45分からバイト代が発生するのが普通じゃないの?とは思う。
けれどもその店は10時開店でバイト代が発生する勤務時間も10時からなので、最初から開店準備の時間分、暗黙の了解で無給なのだ。
今後木島さんが朝から一人で勤務の時もあるので、やんわりと「10時はお店を開ける時間なんで、それまでに来て開店準備をしなきゃなんないのよ」と言った。
木島さんの顔には「えっ?バイト代は10時からしか出ないのに?」と書いてあるようだったが、本当に見ると聞くとでは大違いって事はあるのだ。
ここで木島さんが「聞いて無いので!」と辞められてもしょうがないと思ったが、私と同じく閉店までの3カ月の辛抱と思ったようだ。
その翌日、私は一日通しの一人勤務で、朝から閉店の20時までだった。
10時間勤務とはびっくりだが、そんなに客が来ない店だったので気は楽だった。
お昼ご飯はおにぎりを作って持って行っていたので、それを客のいない合間合間にバックヤードで一口かじっては店に出てを続けた。
店内に客が入ってくることは少ないが、それでもたまにたくさんいらっしゃることもある。
店先に数個並べて置いてあるワゴンの低価格商品を手に取る客もたまにはいるので、バックヤードにずっと入りっぱなしにはできない。
トイレにしても、幸い店の近くにあったのでレジの鍵を閉めてダッシュで行く。
今の様に色んな所に防犯カメラがついている時代じゃなかったので、出来る限り店が無人にならないように気を付けた。
その子ども服店は客が店の商品を触るとすぐさま駆け寄って声をかけるように言われていたが、はっきり言って私自身がそんな接客が苦手だ。
もう少し自由に見させてくれよと思う。
店内の滞在時間が長くなれば、そこで初めて『何かお探しですか?』は有りだが、客が店内に入って来た途端、またはワゴンの商品に触れた途端に走り寄って行き、『それ可愛いですよね~?』だの『それ人気なんですよ~!』と話しかけるのは、むしろ客が帰ってしまうことが多いんじゃなかろうかと思う。
現に、私と店長の二人勤務の時、店内に客が入ってきた途端飛び出すように走り寄ってあれこれとセールストークをする店長。
で、「ちょっと見てるだけなので...」とそそくさと帰ってしまう客。
ワゴンの前に若いベビー連れのママさん数人が近寄ると、「こんにちは~♪」と明るい声を出してニコニコと駆け寄る店長。
若いママたちはそれぞれ会話をしながら子ども服を手に取るものの、店長の声掛けにはガン無視で帰って行った。
「あんなことしたら、そりゃ逃げるわなぁ...」と思っていたら、店長がこちらに戻って来るやいなや「なんであんたは出て行かないの!!なんでボーっとしてんのよ!!客が来たらすぐ出る!」と怒鳴りだした。
はいはい、すみませんねぇ。
実は店長が出勤している時よりも、私が一人でいる方が売り上げが良かったのだ。
店に客が入って来てもすぐに擦り寄ったりはせず、「ゆっくりご覧ください」とニッコリ笑顔。
ワゴンに客が数人いても、「いらっしゃいませ~」と笑顔で声はかけても走り寄ったりしない。
『客がゆっくり商品を見て選ぶ』という時間は、絶対に必要だと思うのだがこの店長はそうではないらしい。
1枚買うところを2枚買わせる的な、店長はそんなグイグイ売るタイプだった。
ある日ふと思いつき、店先のワゴンの中にある商品をサイズ分けし、それぞれクシャッと山積み状態にしてみた。
すると若いママさんたちが食いつき、宝探しのように底から掘り返しながら商品を手に取っていた。
「これ可愛い!」
「いや~ん、こんなんあったー!!」
「これ見て見て!」
そう言いながら、ママさんたちはそれぞれの顔を見合わせては掘り出し物を見せ合い、数枚づつを手に取ってレジに並んでくれた。
ところが、それをたまたま店に忘れ物を取りに来た店長に見つかり、私は怒鳴りつけられた。
そう、この店(と言うか店長の方針)は、低価格の商品でも百貨店の様にチマチマときっちり畳んで陳列する方針だったのだ。
そして客が手に取って商品が乱れると、すぐさま手に取って畳み直すのだ。
それも客の隣で。
そんなことをされては客が逃げて当たり前だと思った。
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