<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市の公務員をしている61歳男性です。生来の掃除嫌いで我が家もあちこちとほこりが溜まっている状態です。
職場の同僚であるNさん(50代)は、奥様(50代、役場勤務)と2人暮らしです。
お子さんのいないご夫婦なので、若い頃からいろいろな趣味を楽しんでいます。
私たちは子どもたちが独立して夫婦2人暮らしとなり、彼の助言で穴場の旅行などを楽しませてもらい、ときどきお互いの家を行き来するような関係です。
Nさん夫婦は、ある変わったルーティンをお持ちです。
毎月末の土日を「クリーンデー」と名付けて、一斉清掃日としているのです。
こんな話を聞くと、月に一度の大掃除か、と思う方が多いでしょうが、ちょっと様子がおかしいのです。
彼の家では、この日以外は一切掃除や洗濯をしないのです。
食器も1カ月分溜め込んでこの日に洗います。
洗濯も山積みのものを、この日に何度となく洗濯機を回して一気に洗い上げます。
家中に散らばったものやゴミのたぐいもこの日にすべて片付けるというわけです。
「いやあ、うち、共働きだったじゃないですか。なかなか片付けまで手が回らなくなったときにね、思い切って1カ月何もしないって決めてみたんですよ」
そうしたら案外うまくいってしまった、と悪びれる様子もなく語るNさん。
それ以来の習慣として定着したということです。
Nさんとの付き合い始めはこの話は知らず、家を訪ねるなら月初めにしたほうがいいと人づてに聞き、なんでだろうと思いながらもそのようにしていました。
Nさんの家は、2人で住むには十分すぎるほど広く、日曜大工の作業部屋などもあってまさに趣味人の家ですが、いつ行っても小綺麗に片付いていて感心していました。
しかし、コロナ禍の2020年の秋頃、オンラインだけでは進まない仕事ができたため、急遽届け物でNさんのところへ行くことになりました。
その日は9月末の金曜日、まさに「クリーンデー」の前日でした。
家を訪ねて、その様子に目を疑いました。
いつもおしゃれに飾られている玄関先はゴミに埋もれ、どこからがポーチなのかも分からない状態に。
その見た目は、よくワイドショーなどで取り上げられる「ゴミ屋敷」そのものでした。
なんとかゴミをかき分け、玄関にたどり着き、呼び鈴を押すとNさんがドアを開けてくれました。
中に踏み入ると、室内も荒れ放題の有様で、隙間から見えた台所には食器が積み上がっていました。
応対してくれたNさんは照れ笑いしていました。
「一番散らかっているときに来るとは、人が悪いですね」
その後、興味半分にさすがに風呂とかは洗っているんでしょうと聞いたところ...。
「風呂も1カ月は替えないですよ。クリーンデー前にはちょっとヌルヌルするけど、まあ慣れればどうってことはないですね」
笑いながら答えるNさんに、私の背筋はゾワゾワしました。
Nさんも奥様も職場ではごく普通で、特に不衛生というわけではありません。
しかし、3年前に見たあの光景はいまでもまざまざと思い出され、あの中で普通に生活できることには驚くばかりです。
ちなみに、Nさん宅ではいまでも「クリーンデー」は続いているそうです。
言うまでもなく、この出来事以来、月初めにしかNさん宅を訪問しないようにしています。
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