<この体験記を書いた人>
ペンネーム:大家ぽん子
性別:女性
年齢:65
プロフィール:主婦です。1歳年上の夫と猫と暮らしています。義母は1人暮らしをしています。
最近、義母の住む町の百貨店が閉店するというニュースが流れました。
この土地では唯一の老舗百貨店ですが、時代の波には抗えなかったのでしょうか。
深々と頭を下げる従業員の皆さんのニュース映像に寂しさを覚えながら、思い出したことがあります。
あれは7年前の事。
私の娘、義母(82歳)にとっての孫娘(29歳)の結婚式での話です。
義母は「着物はもうつらいから」と言って、式にはスーツで出席することにしていました。
そして、義母から「スーツのインナーにおしゃれなブラウスが欲しいから、一緒にお店に行って見立ててほしい」と頼まれたので、地元の百貨店に買いに行くことに。
その際、接客についてくれた店員が曲者でした。
小物の会計をする私を待っていた義母に、その店員が声をかけました。
声のかけ方が親しげで、ついつい義母はその店員について行くことに。
そこで聞かれるまま「ブラウスを探している。このスーツに合わせようと思っている」と、結婚式で着るつもりのスーツのジャケットをかばんから取り出しました。
店員は「分かりました」と何着か見つくろってくれたのですが、出してきたブラウスが何とも個性的すぎるデザインでした。
選んだ柄は、なんと黄色とグレーのストライプ。
ストライプといっても、細いものではなく太い縞と細い縞が交互に入り混じる、どう見てもおしゃれ上級者用の柄でした。
「お客様お似合いですよお」
セールストークに圧倒され、もう半分財布を出しかけていた義母...。
そこに会計が終わった私が合流すると、その店員は急にトーンダウン。
「お連れ様がいらしたんですね、ごゆっくりご覧ください」
そう言ってから違う人の接客を始めました。
義母に見せられたブラウスに私もびっくり。
義母が持参した、品の良い紫色のスーツにはどう考えても合いません。
若者なら着られるのかもしれませんが、紫のスーツに黄色とグレーのストライプのシャツを合わせるのは、義母世代には難しすぎますよね。
その後、同じ百貨店内の他のお店で、スーツにも義母の顔立ちにもとても良く似合う素敵なブラウスを買うことができました。
その店員は用途をしっかり聞いてくれて、結婚式にふさわしいものを選んでくれました。
「同じ建物の中にこんなに良いものがあるのに、よりによってあの店員は、なぜあれを勧めたんだろう」
思わずそうぼやきました。
あの黄色のストライプブラウスは売れ残りで、押しに弱そうに見える(実際は気も弱くないのですが)義母に、あわよくば押し付けようとしていたとしか思えません。
地元デパートの商魂たくましさに、私も義母も圧倒された出来事でした。
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