<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女性
年齢:54
プロフィール:アラフィフ兼業主婦。不思議な体験はポジティブに捉えるようにしています。
54歳の兼業主婦です。
これは数年前、私の親友A子(当時41歳)が病気で亡くなったときの話です。
A子とは幼馴染で、幼稚園、小学校、中学校、高校とずっと一緒でした。
その後はそれぞれ大学と専門学校に進学することになり別れたのですが、ずっと連絡をとりあっていました。
そしてお互いの結婚後、偶然にも同じ地域に住むことになった私たちは、何でも話せるかけがいのない親友でした。
「慎重な○○ちゃん(私)より、お転婆な私のほうがきっと先に逝きそうな気がする」
「え、そんな。A子おらんくなるとか絶対寂しいて泣いてしまうやん」
「まぁ、そしたら絶対枕元に立ってお別れしに行くけん、泣かないでね」
「いや、それちょっと怖くて泣き止むわ」
などと冗談を言って笑いあったこともありました。
そんなA子は、病気で突然亡くなってしまいました。
ショックのあまり寝込んでしまった私は、仕事もままならず、休みをもらうほどでした。
いま振り返ってみても、相当心にきてしまったんだと思います。
夜になるとA子のことを思い出し、散々泣いたというのに「どこにそんな水分があるの?」と思うほど、とめどなく涙が止まりませんでした。
しかし、ある日の夜のことです。
私は何か違和感を覚えてはっと目を覚ましました。
すると、枕元にA子が立っていたのです。
娘さんから母の日に初めてのバイト代でプレゼントされたという、とても大事にしていた赤のカーディガンを着たその姿は、不思議にも中学生の頃ぐらいの容姿でした。
私が何も言えずにいると、A子はにこっと笑って「またね!」と手を振ってくれました。
おさげ髪で、ちょっと八重歯が覗くその笑い方は、確かに中学時代のA子のまま、そしていつも自分の家の前でA子が別れ際に見せる仕草そのままでした。
A子はすぐに見えなくなってしまったのですが、私は無言で起き上がり、しばらくしてからまた号泣していました。
いま考えても不思議な体験でした。
もしかすると、私が寂しさのあまり作り出した幻か夢だったのかもしれません。
でも、A子に会えたおかげで、ようやく心を整理することができました。
翌日から私は仕事にも行けるようになり、以前と変わりない生活が送れるようになっていきました。
もちろん、いまでもA子のことを思い出すと寂しい気持ちになりますが、同時に楽しかった思い出も蘇ってくるので、こういうことでいいんだよねと私も笑うようにしています。
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