<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市で再任用の公務員をしている61歳の男性です。子どもが小さい頃は休日に公園に出かけるのが楽しみでした。
「近所の人の苦情で公園が閉鎖なんて、遊びたい側の意見は無視ですかあ?」
2022年の年末、近隣住民からの苦情が原因で公園が閉鎖されることになった、というニュースを見て、私は昔の嫌な出来事を思い出しました。
今の家に引っ越す前、25年ほど昔のことになります。
娘(当時3歳)を連れて、日曜の昼下がりの散歩と洒落込むことにしました。
天気のよい暖かな春の日で、お出かけ大好きな娘も上機嫌でした。
「ちょっと遠くまで行ってみようか? 行ったことのない公園とか行ってみる?」
「いく、いくぅ!」
娘も盛り上がったので、かなり足を伸ばして、行ったことのない公園まで出かけました。
いまから思えばこれがよくなかったのですが...。
「立派な公園だなあ。遊具もいっぱいあるぞ!」
その公園はきれいに整えられていて、ベンチや東屋で話し込んだり、日向ぼっこしたりする利用者の姿がチラホラと見られました。
ただ不思議なことに、この公園には子どもの姿がありません。
「日曜の午後だっていうのに...子どもが少ない地区なのかな?」
けっこう大きな公園で広いスペースもあります。
普通なら野球やサッカーに興じる子どもの姿があっておかしくありません。
楽しそうな遊具も設けられていて、小さな子どもが遊ぶのにうってつけの公園に見えるだけに首を傾げました。
曲がりくねったすべり台のような遊具を見つけて、娘は駆け寄って遊び始めました。
自分から遊具に飛びついていきますが、そんなに騒いで遊ぶタイプではありません。
このときもはじめのうちは特に声を上げることもなく、1人で繰り返し滑り台で遊んでいました。
「ほら、食べちゃうぞ」
娘にちょっかいを出すと、少しテンションも高まっていた娘は思わず「きゃーっ!」と声を上げました。
その瞬間でした。
「うるさい! 静かな公園で騒ぐんじゃない!」
と大声が響きました。
見ると公園の隣家の男性(50代くらい)が窓から身を乗り出しています。
娘は突然のことに驚いて、すっかり固まってしまい、やがて声も出さずに泣き始めました。
「すみません。小さい子なので、ちょっと羽目をはずしてしまいました...」
納得できない感情を押し殺して、その男性に謝罪しようとしたときです。
「お前が親か! 自制心もない子どもを公共の場に放し飼いにするんじゃない!」
一気に畳み掛けられました。
「はあ? 公園で子どもが無言で遊ぶほうがどうかしてるんじゃないですか?」
あまりの物言いに、ついこちらも声を荒らげてしまいました。
「だから、子どもを遊ばせるんなら、騒音が問題にならない所でやれと言ってるんだ! そこにも書いてあるだろう!」
男性が指さしたところには、手作りの看板が掲げられており...。
「迷惑な子どもの奇声、馬鹿げた大声、厳禁」
などというとんでもない内容が書かれていました。
「分かったか! 子どもを遊ばせるんならどこか別の所でやればいいだろう! ここは静かな公園が売りなんだ!」
男性の声のほうがよほど迷惑だと思いました。
ただ、公園に居合わせた人たちはまた始まったと言わんばかりに眉をひそめるばかりで、男性に意見をする人はいませんでした。
「失礼いたしました! もう静寂のお邪魔はいたしません!」
いら立ちを込めて言い返し、あまりの理不尽さに腸が煮えくり返る思いでしたが、娘をなだめながらその場を立ち去りました。
その後、その公園には一切、近づかなかったのは言うまでもありません。
人気記事:義母の入院。散々虐められたのに「あなたが面倒みてあげて」と親戚中から電話が...《かづ》
人気記事:《漫画》「パート主婦って苦労してる感じだよね」と私たちを常に見下す義弟夫婦。ところが...<前編>
人気記事:《漫画》土産に高級ステーキ肉を持ち帰った私。受け取った義母の反応が...なんか変?<前編>
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。