<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ルーナ
性別:女性
年齢:52
プロフィール:感謝と思いやりを忘れずに、毎日笑顔で過ごしたいと思っております。
10年くらい前の話です。
当時、私が住んでいた家の近所に、昔ながらの蕎麦店がありました。
大通りからちょっと入った場所にあり、外観は古めで、いかにも「常連さんしか行きせん」という感じのお店です。
お店の前をいつも通っていましたが、あまり繁盛している感じではありませんでした。
ある日、友人が遊びに来たときのことです。
友人が「天ぷらをツマミにビールが飲みたい!」と言い出し、近いとの理由から「そこの蕎麦屋さんに行こう」と提案されました。
蕎麦店の外観を思い出すと、私はまったく気が進みませんでしたが...。
店に着き、扉を開けると、最初に目に入ってきたのは子ども連れの家族でした。
失礼ですが、真っ先に思ったのは「こんなお店に家族で?」です。
座敷の席が3つ、テーブル席が3つという狭い店内で、店主らしき人の姿は見当たらず、私たちが店に入ってから「いらっしゃいませ」の声もなかったと記憶しています。
とりあえず、空いていた座敷に腰を下ろしました。
厨房を伺うと、奥に70代半ばの店主の姿があり、夫婦らしい感じの2人で切り盛りしている様子でした。
「私たちが来たことに気付いてないのかな?」と思い「すいませーん」と声をかけました。
すると、無言で出てきたのは店主の奥さんらしき人。
一見客は嫌なのか? と思わせる愛想の悪さで、私は戸惑いながらも「ビール2本と、天ぷらの盛り合わせをください」と伝えると、真顔のまま無言で立ち去りました。
え? 駄目なの? 友だちと「『とりあえずビール』お断りの店?」とコソコソ話をしていると、奥さんは無言でビールを「ドンッ」。
その態度に、とてつもなく居心地が悪くなった私たちは「何か食べて早く帰ろう」となり、私はもり蕎麦を、友人はたぬきうどんを追加注文しました。
注文した品はすべて無言で運ばれました。
すでに「早く帰る」と決めていた私は、そっけない態度も気にもなりません。
そして、蕎麦を食べようとした瞬間、ん? つゆの匂いが? と思いつつ麺をズルズル。
すると「ん!」言葉にならない衝撃的な味でした。
「これはヤバい」そう思い、店の方を呼びました。
「つゆの味が変なんですけど...」
私が聞くと「は?」と眉をしかめる奥さんらしき人。
初めて発した言葉が「は?」にも驚きましたが、それでも「これ、つゆじゃないみたいなんですけど」というと、すごい形相で...。
「あ? あんた蕎麦の食い方も知らねーのか!」
予想外に罵倒の言葉を浴びせられ、唖然としていると「どうかしましたか?」と声に気付いた店主が奥から出てきました。
私が事情を説明していると「お父さん...」突然、家族連れの男性が話に入ってきたのです。
最初に目に入ったお客さんは、店主の息子家族だったようです。
息子さんの話によると、厨房に作ってあったアイスコーヒーを飲んで、勝手に冷蔵庫に入れたということ。
どうやら店主は、蕎麦つゆとアイスコーヒーを、同じ形のピッチャーに入れていたらしく、蕎麦つゆと思い込んでしまったみたいです。
「同じ形の物に入れるな!」と心の中で叫びながらも、店主が申し訳なさそうに謝っていたので、新しい蕎麦つゆに変えてもらって一件落着。
いや...一件落着ではない。
「罵倒の言葉」に対して私は謝ってもらっていない...。
何事もなかったような顔をしている奥さんに、私は唖然としてしまいました。
その後、近所の方に聞いた話では、あの「蕎麦店は愛想が悪くて有名」とのこと。
私はそんなレベルではない! と心の中で突っ込みつつ「謝る事って大切」とつくづく感じました。
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