義母の指示で「泣きながら作ったおせち料理」。凍えそうになって作った料理、いま思うと...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:gaspal
性別:女性
年齢:42
プロフィール:私(42歳)、夫(53歳)、小学5年生息子の3人暮らし。共働き家庭。時短で美味しい料理作りに、はまり中。

義母の指示で「泣きながら作ったおせち料理」。凍えそうになって作った料理、いま思うと... 25.jpg

義母(82歳)は遠方の雪国で長年一人暮らしをしています。

2020年に認知症を発症してしまい、現在は要介護1です。

息子である夫と、義実家から車で1時間ほどの場所に住む義兄(51歳)。

2人の息子の顔も分からないほど、この1年で認知症が進行してしまいました。

ほぼ毎週末、義兄は義実家に行き、義母の買い物に付き添い、掃除や郵便物の確認と頻繁に顔を合わせています。

しかし、義母は義兄を全く覚えておらず「(義兄と)何年も会ってない」と言います。

そんな義母は、認知症発症前の2019年まで、広大な畑で無農薬の野菜や果物を数十種類、1人で手作りしていたほど食べ物にこだわりがあります。

お惣菜や冷凍食品、もちろん外食を選ぶことは、義母にとって論外です。

義実家に帰省すると、嫁である私は朝4時に起こされ、まるで料亭のように品数が多く、豪華な朝食を用意させられていました。

そういうときは義兄夫婦も帰省するのですが、義兄には3人兄弟の子どもたち(現在は26歳、24歳、22歳)がいます。

その子どもたちが食べ盛りの高校生のときなどは、毎食10人分以上の食事を作っており、本当に大変でした。

義母は作り方にもこだわっていて、特に大変だったのは「おせち料理作り」でした。

例えば、昆布巻きなら昆布を煮て、干ぴょうを煮て、中に入れる本ししゃもを焼いてと最初から最後まで手作り。

お雑煮には10種類以上の野菜や鶏肉などを入れるため、具材を10人分以上切るだけでも重労働でした。

下ごしらえも作るのもほぼ私。

義母は指示をするだけです。

人手がほしいのですが、義姉(現在52歳)には「片付けはするから、作るのは〇〇ちゃん(私)お願いね!」と毎回ちゃっかりと押し付けられます。

豪雪地帯の義実家の外で雪が降る中、きんぴらのゴボウを冷水で洗いました。

「私、令和のおしんなの?」と何度も泣きながらです。

お餅ももちろん杵と臼でつき、あんこもちの餡は義母が畑で栽培した小豆を、私が茹でてつぶすのです。

たしかに無農薬、全て手作りで、何を食べても美味しいおせち料理になります。

でも帰省すると、お正月の私の居場所は1日中、台所か凍えそうな納屋。

憂鬱でたまりませんでした。

でも、現在の義母は認知症のせいでお味噌汁さえも作れません。

認知症になる前、2019年に半泣きで作ったおせちが、義母との最後の料理となったのです。

もしかしたら義母は、料理が大嫌いな義姉でなく、私に「伝えたい味」があったのかなと思いを巡らせてしまいます。

2022年はコロナを考慮して義実家への帰省をやめました。

しかし、我が家では義母に教わったおせち料理のいくつかは作り続けて、この先も義母の味を受け継いでいこうと思っています。

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