アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
皆さん「ママ友」はいらっしゃいますか? 私の長きにわたる人生の中の、色んなママたちのお話をしようと思います。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】「私は週に〇回!うちの旦那好きやねん!」猥談好きなママ友の下世話トークに目が点...
ある日の買い物帰り、マンションの手前で松木さんと宮田さんが井戸端会議をしていた。
私も久しぶりだったので会議に参加することにした。
その日の内容は何とかして収入を増やすべく、アルバイトか内職がないのかとのことだった。
私も一時期内職はしていたが、そんなに想像するほど儲かるわけでもなく、松木さん達が想像するような収入は内職では見込めない。
ところが、その日は松木さんが一枚のチラシを私たちに見せてくれた。
それは地域のコミュニティ新聞が、広告主を探すアルバイトの募集だった。
「でも、お店を回るにしても範囲が広いよねぇ」
「車で回らなきゃ、歩きじゃ無理やわ」
そう、当時は駅前でもスーパーと喫茶店と本屋と美容院くらいしかなく、そんなコミュニティー新聞に広告を依頼してくれるようなお店自体が少ない。
主要道路に面した飲食店であったり、点在しているコンビニや個人のお店を回るには徒歩ではとてもじゃないが無理だ。
すると、あらかじめどんなアルバイトの内容なのか松木さんが問い合わせをしていたらしく、説明をしてくれた。
広告依頼が取れればどこの店でも良いので出来高制。
バイトをするのであれば、車を持っている宮田さんと松木さんが二手に分かれ、当時の私は運転免許を持っていなかったので、どちらかに車に乗せて行ってもらわなければならない立場だ。
そうこうしているところに、幸か不幸か小山さんが通りかかった。
「なになに~?? なんの話~?」
シマッタと思ったが時すでに遅しで、小山さんは松木さんが手にしていたチラシを見逃さなかった。
「バイトすんの!? 入れて!入れて!」
『えー...』と内心思ったが、松木さんが「ちょうど4人」と言い、小山さんも入れることになった。
アラカンの今なら真っ先にあっさりときっぱりと即答で断れるのだが。
宮田さんが幼稚園から一緒だから安心という理由で私と組みたいと言い、おのずと松木さんは小山さんと組むことに決まった。
新聞社からは現在広告を出してくれているところの一覧は貰えるらしく、そこには継続のお願いに回り、新規をかなりの数開拓してほしいとのことを松木さんが聞いていた。
昼間の間に回れる限り二組で回り、契約を取ろうとの話になった。
「ちょっと待って、でも昼間回っただけですぐに契約が取れるわけやないよね?」
日中は店員だけという店も多いだろう。
ましてや契約と言うことになったら「店長がいる時にまた来てくださいってことになるんじゃないの?」と私は言った。
そもそも、宮田さんのご主人は泊りの勤務も多く、松木さんのご主人は勤務時間が夕方遅くまでのことが多いので、私と同じく子どもが帰ってくる夕方以降は出られない。
「夕方や閉店後にまた来てくださいって言われたらどうする?」
「う~~~ん...」
松木さんも宮田さんも、もちろん私も無言になった。
「私が行くで♪」 そう言ったのは小山さんだった。
「えっ?ホンマに!?」
「それやったらできるなぁ!」
宮田さんと松木さんの表情が明るくなった。
「うん、うちの旦那は早かったら5時半に帰ってくるし、遅くても6時には大丈夫やから、そこから旦那に車出してもらって私が回るわ」
そういえば小山さんのご主人は公務員だった。
「そしたら日中は二手に分かれてお店回りをして契約を取って来て、夜に来てって所は小山さんが行ってくれるってことでええね」
宮田さんも松木さんもホッとした顔つきになった。
「じゃあ新聞社にみんなで行って、この話でって決めてこようか」
松木さんがチラシに書いてある電話番号に電話をしようとした瞬間、私の中のモヤモヤが口に出た。
「あのぉ...、日中みんなで回って話を付けるよね。それでその場で契約が取れたり、『明日また来て』って言われたら明日行けばいいけど、『夜に来て』ってところには小山さんが行って契約を取ってくるんだよね?」
「今その話ししてたやん(笑)」
3人が『何を言うてんの?』という顔で笑った。
「収入はどうやって振り分けられんの?」
3人は私が続けたその言葉の意味に、なかなかすぐにピンとこなかった様子。
「例えば日中に宮田組が10軒、松木組が10軒の契約を取ったとしたら、そりゃあそのまんまそれぞれが10軒ずつの収入になるけど、その10軒中半数以上が『夜に来て』ってなったら、それには小山さんが行って契約を取るんやろ?」
宮田さんと松木さんが、私の言いたいところにちょっと気が付きだした。
「昼間に二組合計20軒回って契約につながるようにパンフレット渡して説明しても、『契約は店主がいる時に来て』ってなったら、夜に小山さんが行って契約してもらうってことやん?その場合の収入の分け方はどうするん?」
小山さんが間髪入れずにこう言った。
「そりゃそれは私のやろ?」
私は『やっぱりね』と内心思ったが、宮田さんと松木さんは驚いた表情だった。
「だって!『夜に来て』って言われて行かんかったら契約取れへんねんで?それを私が行って取ってくるんやから、私の取り分やろ?」
小山さんは『何か問題でも?』という顔つきだった。
「でもそこに至るまでは、あんたは私の車に乗って昼間回ってるんやん。2人で回ってパンフレット渡して説明もして、それで夜に行って契約して貰ったら自分ひとりのもんって言うのはどうなん?」
松木さんに続けて宮田さんも言う。
「私とかづさんが昼間説明して回った分も、夜に小山さんが行ったら全部小山さんの分ってこと?」
ところが小山さんはきょとんとした顔で
「だって、『夜に来てくれ』って言われても『行けません』ってなったら契約取られへんやろ?それを私が行って取ってくるんやから、私の取り分で何がおかしい??」
シレッとこう言う。
「車出して貰って、運転して貰って、ガソリン代掛かってってなったら、小山さんが取ってくる契約までに色々と下準備はしてる訳やん?」
とりあえず説明はしてみたが、小山さんには通じない。
「それでも夜に行かんかったら契約取れんわけやから、最終的に契約を取ってきた私の取り分になるんちゃうん??」
とりあえずこの件は一旦保留にして、解散することになった。
が、二度とこの話が出ることも無かった。
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