<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ころちゃん
性別:男性
年齢:55
プロフィール:若い頃と違い、めっきり冬の寒さが身に染みるようになった現在です。
55歳の私が10年ほど前に経験した、今でもいぶかしい、友人とのけんか別れの話です。
友人は中学校のクラスメートで、高校は別々でも頻繁に会う間柄でした。
私が現役で大学に、彼が一浪で同地域に進学した後も、互いに行き来する関係は続き、就職後も交流は途絶えませんでした。
どこにでもある昔馴染みの旧友関係で、互いに同じような人生を送ってきました。
ただ、事件となる出来事の2年ほど前、彼は転職の際にうつ病を患いました。
思うように希望がかなわないことから、理想と現実の狭間で苦しんでいたのでしょう。
共に独身だったこともあり、私はできるだけ彼の精神的な支えになれるよう努めたつもりでした。
一緒に食事に行った際、電車で帰っていく私をいつまでも改札のところから見送る、彼の不安気な姿が印象的でした。
さて、そんな彼でしたが、ついに希望の転職が決まり、これで落ち着いていくだろうと私も胸を撫で下ろしました。
いつものように電話をかけ、彼の成功を称えました。
「お互い頑張ろうな」
すると、彼は笑って言いました。
「おいおい、頑張っているのは俺だけだろ」
私は何か引っかかるものを感じました。
「俺だって頑張ってるよ」
「お前は努力の意味を分かってない」
私は戸惑いました。
「何言ってんだよ、お互い頑張ってきたじゃないか」
「お前なんかと一緒にするな!」
いきなり彼が怒鳴ったのです。
私はただただ驚くのみで、それでもおずおずと「俺だって頑張ってるよ」と返しました。
「じゃあ、本を何冊読んだ? 何万何千何百?」
早口でまくしたててきて私が口籠ると、「ほら、お前はその程度だ」とあざ笑うように言うのです。
このときには私もむっとして「もういい」と電話を切りました。
これまでけんからしいけんかもしたことがなかったのに、なぜ彼が急にこんなことを言い出したのか、わけが分かりません。
とにかくこれでは終われないと思い、数分後、私は彼に電話をかけ直しました。
「おい、さっきのことだけど、取り消してくれないかな。俺のことも認めてくれよ」
「無理だ。お前が自分の努力不足を認めるのが先だ。俺はいつも命がけで生きている。お前なんかと一緒にされるのは困る」
「分かった」
こうして、彼との20年以上に渡る友情はあっけなく終わりました。
それ以来、彼に連絡していませんし、連絡が来ることもありません。
あのときまで仲の良い友人だったはずなのに、いまだ腑に落ちません。
かすかに思い当たるのは、私たちの関係は彼がややマウントを取る形で続いていました。
私も特にそれを不満に思うわけでなく、自然な流れの中で甘んじていました。
彼の立場からすると、そういう関係を保てる相手が私だけだったような気がします。
うつ病も彼の精神状態に何か影響を与えたのかもしれませんが、今となっては分かる術もありません。
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