<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女性
年齢:58
プロフィール:イルカもたまに遊びに来る海辺の街でネコ3匹と夫と暮らす普通の関西のおばちゃんです。
32年前、私(当時26歳)がスキー場のコールセンターで勤務していたときの話です。
予約係の約30名のうち男性は2名のみで、そのうちの1名のAが天然ボケというか愛嬌のあるタイプでした。
ある日、Aが予約を受け、先方の名前を確認していました。
「はい『ススギ』さんですね!」
「え? はい、『ススギ』さんですよね?」
「はい、ですから、『ス・ス・ギ』さんですよね?」
何度も繰り返しているのが聞こえました。
「『ススギ』なんて珍しい名前だよね?」
電話を受けながら聞いていた同僚たちは徐々にザワザワ。
そのうち、みなが「これは某代理店(うちのお得意先の代理店)のあの厳格な『鈴木』さんちゃう?」と気付きました。
「Aに教えてあげないと!」と私が立とうとした瞬間、当時、一番厳しかった上司がゆっくりと彼に近づいてきました。
「あ! 怒られる!」
私たちが固まったまま見守っていると、上司はAの背後に立ち、しばらくAと得意先の会話を聞いていました。
それにも気づかずAは「先ほどから申し上げている通り『ススギ』さんですよね?」と言っています。
そして、さすがの鈴木さんも根負けしたのか、自分の名前を正確に伝えるのをあきらめたようで、「ススギ」のまま電話を切ってしまったようです。
「鈴木」という一般的な名前を「ススギ」と間違う? でも、A自身は真剣なので、憎めないのです。
電話が終わっても、Aはいまだ何を間違えていたのか理解できず、しきりに首を傾げていました。
そんなAを観て、後ろに立っていた上司がついに口を開きました。
「おい! 『ススギ』の次は『脱水』か?」
そう言って静かに去って行ったのです。
Aは「あ、そっか! はは!」と笑い、ようやく自分の間違いに気づいたようでした。
私たちは上司のツッコミが完璧すぎたため、しばらく笑いで肩を揺らしていました。
ミスした人を真正面から攻撃して人格否定に至るパワハラもある中で、その上司はユーモアのあるツッコミで部下を傷つけず、周りにストレスを撒き散らすことなく、ミスを気づかせたのです。
その後も何度かAのミスはありましたが、職場は終始、和んだ雰囲気でスキーシーズンを終えられました。
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