<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さんた
性別:女性
年齢:46
プロフィール:子育て中の主婦です。
2022年の夏の終わり、私の住む地域が大きな台風の被害を受け、大規模な断水を経験しました。
我が家で断水が起きたのは台風が去った後。
天気は回復し、特に被害もなかったので、まさか断水になるなんて...油断していました。
台風は早朝のまだ暗いうちに去り、朝は水が出ていたのに、お昼にご飯を作ろうとすると水が一滴も出ません。
原因がなにか、復旧がいつになるのか全く情報がないまま長い時間が過ぎました。
水がなくなってみて、初めて今までどれだけたくさんの水を無意識に使っていたのか痛感しました。
当たり前ですが、ご飯を作るにもお皿を洗うのにも水は必要です。
水がなければトイレは流せず、体をきれいにすることもできません。
防災用のストックが少しはあったので飲み水はなんとかなりましたが、困ったのは生活用水でした。
トイレを流すだけで数リットルの水を使ってしまいます。
どんなに節水しながらお皿を洗っても、やはり数リットルの水は消費してしまいます。
近所に給水所が設けられましたが、初めの2日は長蛇の列。
数時間待って、タンクが空になってしまったからさらに1時間待ち、なんてこともありました。
苦労してもらって運んできた水も、あっという間になくなっていきます。
1日に何度も給水所に並び、重い水を運び...それだけでクタクタです。
復旧の目処が立たないこともあり、不安に押しつぶされそうになりました。
そんなとき、救われたのは近所の方々との交流でした。
みんな大変で、気持ちにも余裕がないときです。
それなのに、普段はほとんど付き合いのないご近所さんと交流が生まれるとは、不思議なものだと素直に思いました。
私の住む地域は老人が多く、少し気になったので、ご近所さんのお宅に声をかけて回ってみました。
すると、水はないけど...とおはぎをくれたり、少しの水で調理できる防災用の食べ物を分けてくれたりしました。
本当に困っているときに優しくされると、自然と涙が出てしまいます。
困っている方がいないかと思って声をかけたつもりが、逆にたくさん助けられました。
コインランドリーも大混雑で、洗濯物を抱えた多くの人が並んでいます。
みんなイライラしているだろうに、そこでも楽しい会話がたくさんありました。
普段なら、会話なんかせずに洗濯するだけの場所なのに、なかなか復旧しない水道の文句を言い合ってみたり、節水の工夫を教え合ってみたり。
特に愉快だったのは、やっぱり水道復旧の見込みが立たない現状への文句です。
特に「誰に」というわけでなく、共通の不満を言いたい放題。
そしてみんなで笑い合うと、大変なことが軽くなるような気持ちでした。
断水には本当に困ったけれど、大事なことを教えられたような体験でした。
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