<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ガラパゴス
性別:男性
年齢:60
プロフィール:健康には気をつかって運動は大好き。新しいものが好きで何かやりたいことがあれば実践してみたくなるシニアフリーターです。
人の言葉に救われるということは、自分に本当の危機が訪れているときに起こるものだとつくづく思いました。
5年前のことです。
自分が入社以来、20年以上続けてきた仕事に大きな変化が訪れました。
業務分野そのものは大きく変わりませんでしたが、変わったのは人間関係でした。
それまで仕事内容や人間関係が良好な部門の責任者として勤めてきて、残りの会社ライフでも良い業績を残して終わりを迎えられると思っていました。
ところが、この5年前の組織と上司の変更で、突然奈落の底に突き落とされたのです。
まず降りかかってきたのが、自分のルールや考え方を全く譲らない上司の登場でした。
それまでの私のやり方に批判的であり、目標設定も過度なものに。
さらに、飲みに行くと頭を叩かれるといったパワハラまがいのことをされ、職場環境が一気に悪くなっていったのです。
また、自分への業績評価の基準が変わる中で、それまで培ってきたビジネスパートナーや顧客との関係も見直しが必要になりました。
これは自分の考えに反したものでした。
年齢的なこともあったとは思いますが、それらの逆風に心身ともに耐えられない日々が続き、精神的に悩み苦しみ、早期退社も真剣に考えるようになりました。
そこで救いの手となったのが、今は個人事業主として仕事をしている昔の同期仲間でした。
その人と久しぶりに会って、自分の会社事情を相談したときにこう言われました。
「自分は会社の歯車の一つなのだよ」
人は会社員として仕事をしていく中で、実績を上げて昇格がともなって部門の責任者になると、自分で「自らの会社への貢献度」を大きく見積りすぎる傾向があるとのこと。
しかし、会社から見ると「新入社員も自分も変わらない歯車の一つに過ぎない」のだと。
確かに、この会社や事業に自分が必要な存在であることを当然のように考えるようになっていたわけで、これは自分の「うぬぼれ」であることに気づかされたのです。
たとえ、どれだけの利益貢献を会社にもたらしていたとしても、それは歯車の一つとしての仕事。
そのことに気づかされてから、私の仕事への考え方は変わりました。
もちろん、与えられた業務に真摯に向き合う姿勢は変わりませんでした。
一方、パワハラもどきの上司に関しては、幸い会社にあったスピークアップ制度を利用して会社側に報告しました。
その後、職場環境が一気に改善され、自分の思っていた理想の環境を作れた、なんて展開にはなりません。
しかし、昔の同期に言われたことで、考え方や背負う責任感が大きく変わっていました。
背負うものが軽くなったおかげで、仕事を続けることができたのです。
あのとき、早期に退社して違う環境を求める選択肢もありましたが、今は仕事をやりきった満足感を持って退職し、人生を歩むことができています。
5年前に言われたあの一言に、自分は救われたと今も思っています。
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