<この体験記を書いた人>
ペンネーム:くあら
性別:女性
年齢:53
プロフィール:早く以前通りに旅行のできる世の中になりますように。
9年前の夏、小6の息子と高1の娘と夫の4人で、台湾へ家族旅行に行ったときのことです。
旅程も終わりに近付き、足裏マッサージを受けている間にたまった洗濯物を片付けようと、コインランドリーを利用しました。
コインランドリーは、マッサージ店から道路を挟んで目と鼻の先くらいの場所にあります。
持参したゲーム機で「ゲームをしていたい」と言った息子はマッサージを受けず、息子以外の3人が施術を受けることになりました。
そんな息子に、洗濯物の様子を見て来てくれと頼みました。
乾燥が足りないようならコインを追加してもらおうと思ったのです。
今思えば、いくらすぐそことはいえ、海外で小学生を一人で行動させるのは軽率過ぎたと反省しています。
数日滞在して感じた台湾人の親切過ぎる対応やお国柄に、油断していたのかもしれません。
5分もあれば戻ると思っていたのに、息子はなかなか帰ってきません。
マッサージ店さんのスタッフが心配して見に行ってくれましたが、コインランドリーにいなかったそうです。
青ざめた私たちは、急いで息子の姿を探しました。
もし見つからなかったら行くのは警察? 領事館? 日本語は通じる? 帰りの飛行機に乗れなかったら?
悪いことばかりが頭に浮かんでいたとき、遠くから「ママ〜!」と叫ぶ息子の声がしました。
そちらを見ると、見知らぬおばさまのスクーターの後ろに乗った息子が手を振っているではありませんか。
理由を聞くと、息子はマッサージ店を出た途端、コインランドリーと反対の方向に行ってしまったようで、コインランドリーが見つからない上に、帰り道も分からなくなったそう。
しばらくウロウロして目に付いたスーパーマーケットに入り、「日本語の分かる方はいませんか!」と叫んだところ、スクーターのおばさまが名乗りを上げ、話を聞いてくれたそうです。
そして、コインランドリーの近くにあるマッサージ店という不確かな情報だけで場所を探し当て、息子をスクーターの後ろに乗せて連れてきてくれたのです。
ホッとして膝から崩れ落ちそうになった私は、ペコペコと頭を下げ、お礼を言うことしかできませんでした。
名前も連絡先も聞いていないことに気付いたのは、その方が笑顔で手を振って去ってからでした。
今では笑い話のようにその日のことを思い出しますが、その方にちゃんとお礼をしなかったことは心残りです。
やはり台湾は素晴らしい国だなと思いつつ、夏が来るたびに親としてあのときの軽率な行動を猛省しています。
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