<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:私はキャッシュレス決済大好き人間で、財布を出さないことが増えてきました。でも、まだまだ現金派も多いですね。
2022年6月初め頃の休日の出来事です。
ブラブラと街に出かけていたのですが、なかなかに暑い日でした。
「梅雨っぽいかと思えば一気に暑くなって、変な年だな、まったく」
外で飲み物を買うことは少ないのですが、この日は我慢ができず、目についたコンビニに飛び込みました。
「うわ、結構並んでるな」
人間、同じようなことを考えるものです。
レジには数人の行列ができていましたが、その手には清涼飲料水だけという人がほとんどでした。
コンビニも人手不足なのか、2台あるレジのうち稼働しているのは1台だけ。
レジの先頭にいたのは、70代と思われる御婦人でした。
やはり水分補給と思われたのでしょう、麦茶を1本レジ台に置いて、財布の小銭を探っていました。
「すみませんねえ...100円玉があったはずなんだけど...」
少し目が悪いのか、財布を覗き込んでいます。
「ねえ! 缶コーヒーだけで待たされてるんだよ? 勘弁してよ!」
少々癖のありそうな若者(20代後半でしょうか)が言い出しました。
「...え、あ、ほんと...申し訳ありません...」
御婦人はその声に焦っていましたが、小銭はなかなか見つかりません。
「今どき小銭? ねえ、キャッシュレス優先にしてくれない?」
若者はその御婦人の様子にいよいよいら立った様子で、手に持ったスマホを振りかざしながら畳み掛けました。
列に並んだ人たちもいら立っている様子でしたが、それ以上に若者の言動に眉をひそめている感じもしました。
「時代に取り残された人のあおりで、便利さを生かせないって不公平でしょ?」
スマホをこれ見よがしに突き出しながら、若者はいよいよ嫌味たっぷりに言い放ちました。
この発言には私のみならず、列に並んだ人たちの多くが言い過ぎだと感じたようで、連れの方に耳打ちしたり憮然とした表情で若者を見ていました。
その時、別の作業をしていた店員さんが空いていたレジに付きました。
「大変お待たせしました!」
列の方に向かってその店員さんが声をかけると
「ほらあ、キャッシュレス優先だってよ! さすがだねえ」
と言いながら件の若者が列を離れ、そのレジに真っ先に近づきました。
すると、そのレジの店員さんは申し訳なさそうに言いました。
「あの...申し訳ありませんが、並ばれている順番でお願いいたします」
「え? あ...そ、そりゃ...そうだよねえ...」
若者はちょっと驚いた表情で立ち止まり、元の列にきまり悪そうに並び直しました。
「...ありがとうございます。次にお並びの方、どうぞ!」
店員さんの爽やかな対応が印象的で、失笑をこらえていたのは私だけではなかったと思います。
「ああ、あった! はい、これで足りますよね」
列の先頭の御婦人も、無事に小銭の捜索を終了したようでした。
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