<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:地方都市の公務員をこの春に定年退職、再任用で勤続している男性です。田舎町の悪趣味な歓迎会に辟易しています。
「今年も歓迎会はなしか」
コロナ禍の中で迎える3度目の歓迎会シーズン、2020年度から2022年度まで3度、多人数での飲み会は見合わせとなりました。
実のところ中止は歓迎で、私としては心底ホッとしています。
なぜなら田舎町の役場の広報課、ここには職場の歓迎会における時代錯誤な悪習が残っているからです。
歓迎会には多少の余興は必要でしょうし、時間つぶし的な出し物ならネタがないわけでもありません。
しかしながら、この悪習「入会審査」(何に入会するのかよく分かりませんが...)は、その度を超えてハラスメント化しているのです。
私が広報課に異動したのは10年ほど前ですが、その頃の歓迎会でもこの「入会審査」は行われました。
簡単に言えば、新入職員や他の課から異動してきた者に「一芸」を求めるものです。
これが「一芸」で終わることはまずなく、執拗に芸をすることを迫られるのです。
私は全く似ていない持ちネタの西田敏行のモノマネで無情に落第し、カラオケでお茶を濁し、ついには三点倒立を披露しました。
あえなく転倒して腰を嫌というほどぶつける体当たりの芸を披露し、その無謀さを評価され、ようやく合格を勝ち取ったほどです。
当時すでに50代のベテランでさえこの有様ですから、高卒入庁の新人男性(18歳)に至ってはもう地獄です。
話を聞いて用意していた秀逸な手品は「つまらん」の一言で落第。
慣れないモノマネ、漫談、カラオケ、見事なバク転まで披露しても先輩方のお眼鏡には適いませんでした。
「こうなったらもう脱ぐしかない! 脱いだらすごいんだろ?」
そんな下品なやじを受け、周囲も無責任に盛り上がりストリップを迫りました。
「...無理です! 勘弁してください!」
その盛り上がりにいよいよ恐怖を感じたのか、彼は泣き出してしまいました。
「いい泣きっぷり! 合格!」
これを見た御大がそうからかってそのときの「入会審査」は終わりました。
ちなみに彼は未成年です。
シラフで芸をやっていたのですから、その暴虐ぶりは想像に難くないでしょう。
私が広報誌担当の係長になったとき、この慣習をなくそうとしたこともありました。
「普通にカラオケとかで十分じゃないですか?」
しかし、当時の課長(当時定年間近の59歳)はとりあってくれませんでした。
「何を言ってるんだね。麗しき伝統だよ。僕の代で辞めるわけにはいかんよ」
鼻であしらわれて、提案は潰えました。
来年にはコロナも収まってほしいとは思いますし、歓迎会も安心してできればいいとは思います。
しかし、この悪しき伝統だけは断ち切りたいと思っています。
幸い、今の広報課長(58歳)は、私の教育委員会時代に一緒に仕事をした男なので、なんとかうまく根回ししたいと考えています。
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