<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:実家から離れて地方公務員をしています。コロナ禍の中で帰省もままならず父(90歳)との関係がギクシャクしています。
「今年は帰ってもいいよな...」
そう思って実家の父(90歳)に電話を入れました。
夏が近づき、コロナの感染も高値安定が続いていた7月初め頃のことです。
コロナ禍があってここ2年は帰省できずにいました。
「...またコロナが流行り始めてるからな。遠慮してくれ」
父はいつもつれない反応でした。
父は実家近くに居を構えて何かと気にかけてくれている兄(63歳)がお気に入りで、家を離れた私のことはあまりよく思っていません。
そこに加えて歴史的なパンデミックで、すっかりコミュニケーションが乏しくなってしまいました。
最近、父が転倒して骨折したことがあったのですが、兄に箝口令を敷き、私には知らせませんでした。
骨折のことは兄がこっそり教えてくれました。
父が内緒にしていたのは、私が見舞いに行くのを嫌がったゆえのことでしょう。
なにかと敬遠され続けていますが、私にとっては大切な実父です。
なんとか父本人に会いたいと思い、やむなく兄に電話で相談しました。
「俺のとこに来たってことにして、ちょっとだけ会いに行ってみるか? おふくろの墓もお前まだ見てないしなあ...」
兄がそう言ってくれたので、その線でお願いすることにしました。
すると数日後、父から電話がありました。
父から私に電話してくるのは滅多にないことです。
嫌な予感を感じながら電話を取りました。
「みきさん(義姉、56歳)から聞いた。今は地方のほうがコロナが流行るぐらいなんだから、やはり心配だよ」
「...いや、まあ、長居する気はないし...」
「...どうしてもと言うなら、墓参りだけにしてくれんか?」
戸惑う私に、さらに父が続けました。
「たかふみ(兄)の所にも寄らないようにしてくれ。...近くまで来るからと言ってさち(関東圏で教師をしている長女、27)の所に寄るのもやめておけよ。仕事柄、感染させたら大変なんだからな」
余計なお世話まで焼かれました。
その日の夜に兄に電話をして、今回は諦める旨を伝えました。
「みきのやつが『よかったですね』みたいな話をしちゃったらしいんだよね...」
義姉は、週末に父の世話で実家を訪問していて、そのときに兄から聞いた話を父も知っていると思って漏らしてしまったようです。
「すみません。すっかりお義父様も知ってると思って...久しぶりに会えるからさぞうれしいんじゃないかと...本当にごめんなさい!」
兄から電話を代わった義姉にひたすら謝られてしまい、逆に申し訳なくなってしまいました。
「普段一緒にいない人間には会わないほうがいいって固く信じちゃってるんだよなあ...」
電話口に戻った兄がため息交じりにつぶやきました。
確かに会わずに済むならそのほうが安心なのは理解できますが、コロナ禍のせいでそれでなくても気まずい親子関係がこじれる一方な気がして憂鬱です。
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