<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:61
プロフィール:大好きなパパのためならなんでも頑張れちゃう娘です。
喜寿を越え、認知症の症状が出てきた父に、少しでも豊かに過ごしてほしいと車でよく出かけていました。
音楽会や博物館、美術館、テーマパークなどなど。
今から14年前、名古屋の美術館で「浮世絵展」があるというので、父(当時79歳)と母(当時71歳)、私(当時47歳)で出かけたときのことです。
父は、歌麿、国芳、春信、北斎などの名品を一点一点、食い入るように見ていましたが、ほんの一瞬目を離した隙にどこかへ行ってしまいました。
あちらこちらを必死に走って探し回りましたが、見つかりません。
速く歩くこともできないので、行動範囲は限られていると思うのですが、土地勘のない名古屋です。
どちらの方向に行ったのか全く見当もつかず、見つけることができませんでした。
すぐに警察に捜索願を出しました。
でも、警察は調書は取るものの、なかなか動いてはくれませんでした。
警察は事故でも起きない限り何もしないんだ、と思いました。
ただただ無駄に半日が過ぎた頃、独自のネットワークを駆使して捜してくれていた名古屋在住の知人(当時65歳)から「病院にいるらしい」との連絡がありました。
急いで行ってみたら、転んだところを通りがかった人に助けてもらい、病院に連れてきてもらったらしいのです。
頭部にけがをしていましたが、無事な様子を見てホッとしました。
しかし、大の病院嫌いの父は、体調が悪いから診てもらおうと連れ出しても、病院の前まで来ると引き返してしまいます。
幸いというのでしょうか、今回はけがをしていましたので、治療のために病院に連れて行くことができました。
念のためと頭部のレントゲンを撮りました。
診察してくれた医師は「大丈夫です。特に心配はありません」とのこと。
「でも、こんな症状、あんな症状があります」と父の日頃の様子を私が言ったところ、「ちょっと待ってください」と再度レントゲンの写真を見直したのです。
すると「正常圧水頭症の疑いがあります」と告げられました。
なんてことでしょう。
こちらから父の日々の症状を伝えて本当によかったと思いました。
正常圧水頭症は脳室の中に水がたまる病気で、認知症と同じような症状が出ます。
もしそのままだったら、症状がひどくなっていくのを黙って見ているしかなかったかもしれません。
今日、思いがけず病院に来れて本当に良かったと思いました。
脳室から水を抜く手術をし、無事に穏やかな日常を取り戻すことができました。
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