助言をすべて否定する後任にウンザリ...我が道を行く新係長との不毛なバトル

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:この春から町役場の再任用で勤務している地方公務員です。自分の仕事を引き継いだ方とうまく行かずに悩んでいます。

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2021年末に還暦を迎え、この春に定年退職し、その後は再任用で勤務を続けています。

任用先は元の配属だった広報課で、立場的には助言役、相談役といったところ。

バリバリと最前線で働くことはなくなり、少々張り合いに欠ける一方、この立場ならではの悩み事が出てきました。

私は退職時、広報誌担当の係長で、私の後任となったのがAさん(50代後半)です。

この方は同じ広報課ではありましたが、企画係にいた方で、あまり面識はありませんでした。

そして、Aさんは広報誌の作成は初めてということでしたので、私は助言役を任されたのですが...。

「まずは企画原案を作るブレーンストーミングを行って...」

「いや、原案は私が作って提示するようにします」

「広報誌は街の魅力を掘り起こすような方針で進めてきていたので...」

「いや、広報誌の第一義は町政の浸透ですよ。まずは町議会のポイントからでしょう」

私の助言はことごとくAさんに退けられます。

Aさんに言わせれば、自分のやり方と違う、のだそうです。

初めて広報誌に携わるのにずいぶんな自信で、内心は忸怩たる思いでした。

5月に入り、6月号の作成に入ったときのことです。

5月号までは前年度のうちに段取りを進めていたので、6月号からはいよいよAさんがすべてを取りしきる広報誌となります。

すると、ずっと印刷をお願いしていた印刷所からいきなり苦情が入りました。

「校正の仕方が変わったんだけど...これじゃ手間が増えちゃうばかりで...」

私が係長のとき(と言うよりもこれまでずっと)は、原稿を校正(誤字脱字等を修正すること)してから印刷所に渡していました。

印刷所は原稿を入力して版を作り、ゲラと呼ばれる試しの印刷を出力します。

こちらはそのゲラをチェックして必要なら修正を依頼し、本印刷に移る手順でした。

「今回からゲラにしてから校正するんだって? まるごと原稿の差し替えとかもあってさあ、入力の手間が半端なくって...」

こうした印刷所の苦情をAさんに伝えました。

Aさんは言います。

「生の原稿で見るよりゲラの状態で見るほうがチェックしやすいでしょう? 印刷所にしても校正抜きで今までより早く原稿をもらえるわけですから、スケジュールに余裕が持てると思います」

いやいや...と思いますが、Aさんは自分のやり方が正しいと譲りません。

「いや、しかし原稿の差し替えがあるんでは、印刷所はいわば二度手間になるわけですから...」

「...私のやり方で進めているだけです。...それともウジさんは、印刷所と何か約束でもあるんですか?」

そう言って話を切り上げたAさんは、あろうことか広報課長(50代後半)に、私と印刷所の間に癒着の疑いがあると進言したのです。

「まさかとは思うけど、A君はきちんと調べるべきだと言って聞かんのだよ」

「調べるって? 何もありませんから私は構いませんが...」

「いや、つまりさ...入札の情報漏洩の可能性も考えられるって...」

開いた口が塞がりませんでした。

「そんなこと、あるはずないでしょう!」

「いやいや、入札結果は一応調べたけど、ウジさんが担当する前から入札結果に大きな変化はないので、問題なしだったよ」

すでに痛くもない腹は探られ済みだったというわけです。

疑いは晴れたものの、良かれと思って助言したことでこんな目に遭うのであれば、Aさんに対する助言はもう懲り懲りで、固く遠慮しようと思いました。

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