<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女性
年齢:41
プロフィール:夫と二人暮らしの主婦です。
約20年前の学生時代の話です。
学校近くに小さな定食屋さんがありました。
カウンター席と小さなテーブル席が2つだけのこじんまりとした店で、女将さん(60歳くらい)が一人で切り盛りしていました。
メニューもカレーと日替わり定食しかありません。
もともとはバーらしかったのですが、学生向けに定食を出し始めたところ、私たち学生がよく通うようになったという店です。
女将さんが作る料理は安くて健康的でおいしく、かなり人気でした。
小さなお店はいつも学生たちでいっぱい。
女将さんはフレンドリーで、学生たちともすぐに仲良くなりました。
「この間は元気なかったけど大丈夫?」
「あの子最近来ないけど、どうしてるかな」
などなど、私たちを気遣ってくれるのが嬉しくて、私たちもおかみさんに差し入れをしたり、帰省先で買ったお土産を渡したりしていました。
そんなある日、女将さんが常連の学生に小銭入れをプレゼントしてくれました。
その小銭入れは女将さんの地元の特産品らしく「これに定食代を入れて食べに来てね!」と言うので、私たちも定食屋さんに行くときは使っていました。
今になって思えば、この頃から女将さんの言動がおかしくなってきました。
ある時は店が満員になっていても、常連の男子学生(20歳くらい)が来ると「ちょっとそこ詰めて! みんながちょっとずつ詰めればもう1人くらい座れるでしょ」
そう言って店の奥から椅子を持ってきたことがありました。
その男子学生は運動部で体が大きく、詰めて座るには無理がありそうでした。
本人も申し訳なさそうに「じゃあまた後で来ますよ」と言いましたが、女将さんは彼を気に入っているのか「ほら、今席を作ったから早く座って!」と半ば強引に座らせました。
またあるとき、1000円札で払おうとした常連学生に対してはこんなことを...。
「お釣りはないわよ。そのために小銭入れをあげたんだから、小銭入れにちょうどの額を入れてきなさいよ」
怒った口調に驚きましたが、そのときは他の客がすぐにお会計をして小銭が入ったため、お釣りが出せました。
1万円ならまだしも1000円札でお釣りがないなんて、いくらなんでも飲食店として準備不足です。
そしてついに、とんでもない宣言をしたのです。
「今日から夜は予約制にします。夜に来るときはお昼までに電話してね!」
気軽にふらっと入れるのが良かったのに、わざわざ予約しないといけないなんて...。
さすがに面倒臭くなり、私たちは次第にその定食屋さんに行かなくなりました。
そうこうしているうちに私は卒業してしまったため、その後、定食屋さんがどうなったのかは分かりません。
卒業後に後輩と話す機会があったとき「そういえば、あの定食屋さんどうなった?」と聞くと、「そんな定食屋さんありましたっけ? 私は知りません」と言っていたので、おそらくすぐに閉店してしまったのだと思います。
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