アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と2ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
【前回】「あ、忘れた...」何度言っても忘れ物をする姪。いや、いろいろと...おかしいぞ.../かづ
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少々意地悪かなと思ったが、相変わらずハンカチもティッシュも持って来なかった姪を送り届けた際に、玄関口まで出て来たM子ちゃんを前にして
「今日も忘れて来てたんやから、今すぐにお出掛けバッグにハンカチとティッシュを入れときなさいよ。今から入れてたら忘れへんから」
と言うと、姪は元気に「はい!!」と返事をしたが、M子ちゃんはそっぽを向いた。
けれどもそれから一度も姪がハンカチとティッシュを忘れる事がなく、
「学校でも忘れんと持って行ってるで。入れっぱなしの時が多いけど。ふふふ」
と姪は笑った。
「好きな男の子にハンカチ貸してって言われた時、雑巾みたいなよれよれのハンカチ出したら嫌われんで」
と言うと、
「それはアカンわ!」
と姪はおどけた。
母親であるM子ちゃんからはその件で何も話はなかったが、M子ちゃんがどう思っていたかは知らない。
ある日の姪とのお出掛けの帰り、車内で先日の寿司屋での件の話になった。
「姪ちゃんはお寿司嫌いなの?」と聞くと、「生物が嫌い」と。
あぁ、そうだったのか。
でも親は寿司が食べたいので寿司屋に行くが、娘は食べられないのでデザートだけで良いとなってるのか。
なるほど。
ここで姪が驚く事を言いだす。
「私お肉も嫌い」
ええっ!
「お肉も嫌い!? 肉食べへんの!?」
「うん! お母さんも肉大嫌いやから食べへんで」
ええええ!
驚きすぎて、今までの事が目まぐるしく頭の中に巻き戻される。
正月に来た時には、おせちだけでなく肉料理もたくさん作ったし持って帰らせた。
おせちだけじゃなんだからって事で、しゃぶしゃぶもローストビーフも牛肉のたたきに角煮も作ってた。
下弟宅で料理をする際には毎回一品は肉料理を作っていたし...。
「おばちゃんが今まであんたの所でご飯の用意した時に、お肉のおかずもたくさん作って来たけど、あれは?」
「うん、お父さんしか食べへん!」
「弟は?」
「弟はウインナーやハムやったら食べる。私はどっちも嫌い」
子どもは正直な上に、気を使う事をしないのでなんでもハッキリ言う。
「あんた学校で給食あるやん? それはどうしてんの?」
「嫌いな物は食べへんでええもん!」
あぁ...、今どきはそうだったね...。
「そしたらあんた所の食卓には、お肉は出ぇへんの?」
「お父さんが食べる時にちょっと出るけど食べるのはお父さんだけ。お母さんも私も食べへんからお肉は出ぇへん。お父さんが『肉食べたい!』って言うた時だけお父さんの分だけ出る!アハハハ」
下弟嫁のM子ちゃんが肉が大嫌いだったとは、今の今まで知らなかった。
正月には肉料理をワンサカと出され、これまた肉料理をたんまりと持ち帰らなければならず、子育てて大変だからとご飯の支度をしに来て貰ったら、またまた肉料理を作る義姉をどう思っていたのか。
ちなみに費用は全額私持ちだったので、言い出せなかったのか。
そういや、下弟が毎回大喜びしていたのは、家で肉が出なかったからだったのか。
「でもな姪ちゃん、アレルギーがある訳でもなんでもなかったら、少しで良いから食べられるようになってないと、これから大きくなるにつれ困るで? あんたのお母さんは困らんかったかも知れんけど、それはたまたまやと思う」
姪はキョトンとして「それってどんな時?」と聞く。
「さぁ、想像してみよう。これからもっと大きくなって宿泊訓練だったり修学旅行だったり、お友達の家にお呼ばれだったりした時に、『今日はBBQよ』って言われたらどうする?」
「『私、肉もウインナーもハムもダメなんです』って言う? 『今日はハンバーグよ』って言われても『野菜だけで良いです』って言うん?」
「もっと大きくなって女子高生になってやね、夏になって海に行って『さぁ、夜はBBQや!』ってなっても、『すみませーん! 私肉ダメなんで―! 他の物にしてください―!』って言うん? そんな子、次には呼んで貰えんで」
姪は考える顔をし出した。
「例えば女子大生になったり、就職してOLになったとして、上司や先輩から『今夜は飯奢ったろ!』って言われて行った先が焼肉屋やってみ? 『私肉はダメなんですぅ。他のお店にしてくださいぃ』って言う?」
「野菜しか食べへんかったらええんちゃうん?」
姪が即答した。
「焼肉屋にみんなで行ってワイワイやってる所に『私肉嫌いですから野菜だけ食べてます』って言うてみ? 『お前何しに来たんや?』って思われるで?」
だんだんと姪が難しそうな顔になってきた。
「それに、肉を食わんのはあんたの勝手なんやから、例えば【会費3千円】ってなってたら、キャベツやら漬けもんやらピーマンやらチョロッと食べただけでも3千円は払わなあかん」
「えっ! なんで!? 肉食べてへんのに!? なんでみんなと一緒のお金払うん!?」
姪は目を丸くして驚いた。
おっ! 食いつくポイントはココだったか!
「そりゃそうやん。おばちゃんも色んな役員会でお食事に行ったりするけど、【1人3千円】の会費で行ったとして、お支払いの時には当然人数分支払わなあかん。それなのに『私肉食べてませんから、みんなと同じ金額支払うのは納得いきません』なんて言うたら、その分は誰が払うん? そんな事言う人おらんで?」
「えええええ!」
姪は大声を上げて驚いた。
「まぁ、アレが嫌いでコレが嫌い。肉も生物も食べてへんのやからみんなと同じ金額払うのは納得いかん! なんて言う子は、次がないな。あんたは今は子どもやけど、大人になったら直接言うて貰われへんようになる。ただ呼ばれんようになるだけ。あんたの親はあんたが可愛いから好き嫌いはかまへんて言うてるんやろうけど、おばちゃんは可愛いからこそ将来困るでって言うねん。大事なんは『今、良かったら』の『今』やない、将来の為に『今』どうするかやで」
姪は次のお出掛けの時、コソッと「おばちゃん、私ハムやったら少し食べれるようになった。少~しやけどね」と言ってくれた。
「よう頑張ったやん! 凄いやん!」と盛大に褒めたら、姪は恥ずかしそうに、けれども誇らしそうに笑った。
肉嫌いのM子ちゃんがどう思ったのか気になったが、どう話そうともM子ちゃんを責めているように取られては困るので何も聞かなかった。
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