<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女性
年齢:49
プロフィール:自営業の夫と大学生の息子がいる兼業主婦。仕事と家事に追われる日々です。
息子が小学6年生だった2012年夏のできごとです。
家族で一泊二日のキャンプへ出かけることになりました。
我が家の3人だけでは寂しいので、夫(当時41歳)が義弟(39歳)とその家族を誘いました。
義弟の家族は妻のK子さん(当時37歳)、長男(当時10歳)、長女のS美ちゃん(当時5歳)の計4人。
総勢7名で、清流が有名な隣県のキャンプ場を訪れました。
川遊びにバーベキュー、花火とめいっぱい楽しんだ後は、2張りのテントに男女別れて眠ることに。
それまで義弟家族とは、盆や正月に集まることはあったものの、泊まりがけで出かけるのは初めて。
日頃から夫や息子に「イビキがうるさい」と指摘されていた私(当時39歳)は、同じテントで眠るK子さんとS美ちゃんに迷惑をかけるのではないかと心配していました。
しかし、そんな私の心配をよそに、夜になると狭いテント内では信じられないことが起きたのです。
枕が違うとなかなか寝つけない性質の私は、シュラフの中でしばらく目を閉じて過ごしました。
どれくらい時間がたったでしょうか。
「ママ、やきそばが●×&%$~」
私とK子さんの間で寝ていたS美ちゃんがそんな寝言を言いました。
きっと、昼に食べたバーベキューの夢でも見ていたのでしょう。
かわいいなあと思っていたら、今度はK子さんが我が子を宥めるように言いました。
「S美、焼きそばは&%#▲◎~でしょ」
「K子さん、起きてるの?」
暗がりに向かってそう問いかけるも返事はなく、聞こえてくるのは安らかな寝息だけ。
そうなのです、K子さんはS美ちゃんの寝言に寝言で返事をしたのでした。
その後も、S美ちゃんの寝言に反応するようにK子さんが「〇%#'|▼◎」と不明瞭な言葉を返す場面があり、2人のやりとりが気になって余計に眠れなくなりました。
夜も更けてようやく、うつらうつらしていたときです。
「〇〇〇で何つくろう〜♪」
今度は、S美ちゃんの寝言ならぬ、寝歌で目が覚めました。
この歌は、両手をジャンケンのどれかの形にして動物などを表現する手遊び歌です。
うちの息子も幼い頃にリズムに乗せて歌っていました。
それはさておき、怖かったのは、S美ちゃんがかなりの声量で歌っていたにもかかわらず、K子さんが全く起きない点でした。
昼間ならば愛らしいS美ちゃんの歌声も、狭いテント内の暗闇の中で聞くとホラーでしかありません。
私の孤独と恐怖をよそにS美ちゃんの寝歌は続きます。
何ができるんだろう...怖いもの見たさ(聞きたさ?)で耳を澄ませましたが、グーとチョキで何かつくるのか最後まで歌い終わる前に、S美ちゃんは再び寝息を立て始めました。
すると、それまでずっと静かだったK子さんが寝言で一言。
「カタツムリ上手だね」
カタツムリとは何のことか...そして、言葉の意味に気づいたときゾッとしました。
カタツムリはS美ちゃんが手遊び歌で表現した動物にピタリと当てはまったからです。
つまり、右手のグーがカタツムリの殻で、左手のチョキが殻の下にあるツノ。
翌朝、義弟にそれとなく聞いてみたところ、日頃からK子さんとS美ちゃんに寝言を言う習慣はなく、「あの2人は眠っているときが一番静か」とのことでした。
寝言で会話していたように聞こえたのは、私の思い過ごしだったのでしょうか。
あの夜のできごとを思い出すと、今でもちょっと背筋が寒くなります。
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