<この体験記を書いた人>
ペンネーム:yumekafu
性別:女性
年齢:64
プロフィール:両親の介護のため、行員の仕事を途中退職し、現在カウンセリング&ヒーリングの仕事を楽しんでいます。
6年前、娘(当時18歳)は遠方の場所にあるA大学の推薦入学試験を受けました。
1日目は小論文、2日目は面接です。
1日目は「小論文はまあまあ書けたよ」と娘から電話がありほっとしました。
ところが、2日目の面接が終わった後、娘から「ごめん...推薦入試失敗した」と電話がきたのです。
私(当時58歳)は訳が分からず、「どうしたの? 何があったの?」と聞いたのですが、娘は「自分でもよく分からない」と言ったきり泣きそうなのが電話越しに分かったので、それ以上は聞けませんでした。
3日目の夕方、娘は意気消沈した様子で帰ってきました。
空港から家までの車の中でも何も話そうとしないので、私の方から聞くことはできませんでした。
3日ほどたってから、娘がやっとぽつりぽつりと話し始めました。
娘の担当面接官がかなり厳しい人だったようで、初めに前日の小論文を厳しくダメ出しされ、その後の質問の答えにもダメ出しされたそうです。
娘は頭が真っ白になってしまい、後半の質問には答えられなくなってしまいました。
さらに、「こんな考え方では、この大学で勉強する資格はない」という内容のことを言われて、面接で何もできないまま終わってしまったそうです。
「面接官が女性だったことは覚えているけど、どんな顔だったのか思い出せない。面接官が何を言ったのかも、自分が何を言ったのかもあまり覚えてない。ただ面接官が恐くなって、何も言えなくなったのは覚えている」
具体的なことは覚えておらず、そう話すのがやっとでした。
話をするときの娘の様子が痛々しくて、私も話を聞いていて辛かったです。
一緒に受けた2人の友人は別の面接官だったらしく、特に何事もなかったそうです。
面接官でこんなに差があっていいのかと納得のいかない思いが残りました。
それから1カ月後、推薦入試の結果はやはり不合格でした。
「推薦がなくても一般入試があるから」
私も気持ちを切り替えて娘に話をしましたが、力のない声で言われました。
「もうA大学の試験を受ける自信もないし、受ける気持ちになれないよ」
普段からあまり弱音を吐かない娘の言葉に心が痛みました。
こんなに傷ついて、こんなに気持ちを挫かれてしまっていたのです。
推薦入試が、娘にとって大きな挫折感を味わう体験になってしまいました。
それからしばらくして、娘がB大学の案内記事を見せて「本当はこの大学に行きたかったんだ」と私に打ち明けてきました。
我が家の経済状態を考えて言えなかったそうです。
突然の話にびっくりしましたが、娘が希望の大学に合格してまた自信を取り戻せるように、奨学金を受け取る条件で、B大学を受験することに賛成しました。
娘は無事B大学に合格して大学生活を楽しみ、今はやりたい仕事に就いて頑張っています。
娘にとっては結果的によかったのかもしれません。
でも、心が深く傷ついたのは間違いありません。
その証拠に最近、久しぶりにその話題になったとき、娘がこんなことを言いました。
「今でもあのときの面接官の顔も、何を言われたのかも、自分が何と言ったのかも思い出せない」
あまりの恐怖とショックで、自分の記憶に蓋をして思い出せないようにしているのだと思います。
私は、あの電話のときの娘の、今にも泣き出しそうなか細い声を忘れることができません。
そして、娘が推薦入試であんなに傷つく必要があったのかと今でも考えてしまいます。
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