性別:女
年齢:51
プロフィール:WEBライターです。仕事・家事に毎日奮闘中。日々の生活の中で感じたことを紹介します。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
◇◇◇
遺品整理は、写真や手紙などの素敵な思い出に浸ったり、物の多さに八方ふさがりになったり、あるいは「見たくもない物を見ること」になったり......。
いろんな意味で本当に大変な作業です。
2013年夏、義理の父が心臓発作で他界。
89年の人生を終えました。
悲しみの中、葬儀・告別式など滞りなく終了し、次にすべきは遺品整理です。
本来、これは義母の役割なのですが、高齢であることや心労で心身共に弱りきっていたことなどから、夫がサポートすることに。
毎週土曜日の午前中に少しずつ進めていました。
そんなある日、ため息とともに夫が帰宅。
いつもは元気で楽天的な夫。
しかしこの日は珍しく元気がありません。
何があったのか聞いてみると、ぽつぽつと話し始めました。
遺品整理そのものの大変さに疲れていること。
義母との間に感情のもつれが生じていること。
そして、追い打ちをかけるように、遺品の中から「見たくもないもの」が出てきたのだそうで、これにとても心を痛めていたのです。
生前の義父を一言で表すならば「破天荒」な人。
人の意見にはまったく耳を貸さないで、好き勝手しながら生きているような人でした。
そんな性格が災いして、家族との関係に影を落とすことも少なくなかったのだそうです。
そんな中で、家族が最も心配していたのが車の運転。
ルールは守らないし乱暴。
そこに高齢者特有の判断の危うさが加わっていました。
人に迷惑をかける前に車の運転をやめさせようと、家族で何度も話し合いましたがらちがあきませんでした。
そんな義父の言い分は「これまで誰にも迷惑をかけていないのだからつべこべ言うな!」というもの。
だからと言って「はい、それならOK!」とはいきませんので、いろんな方法で止めようとしたのですが、すべてが不発。
結局亡くなる前日まで車に乗っていました。
このことが原因で義父と夫の関係は険悪になり、そのまま和解することなく義父は亡くなってしまったというわけなのです。
このように、生前の義父との関係や別れに心を痛めていた夫が目にしたものは、義父の裏切りの証明ともなる...「車にまつわるトラブル」の証拠の数々。
何度も何度も違反や事故で、いろんな人に迷惑をかけていたのです。
それらの書類や記録となるメモなど、そのことを証明するものがいくつも出てきたのだとか。
中には示談書や裁判所からの呼び出し状など、深刻さを表す物もあったのだそうです。
義父は車の運転を取り上げられないために、家族にウソをつき続けていたことが分かりました。
それらの「証拠の品」を見ることになってしまった夫は、やり切れない思いが爆発してしまったのだとか。
そして、それを弱り切った義母に伝えるのは忍びないと考え、自分の心にしまうことにしたのだと話してくれました。
夫は基本、楽天家です。
少々の事でめげる人ではありませんが、夫の辛そうな顔を見た時ばかりは、遺品整理がどれほど辛いことだったのか、中でも裏切りの証拠を見た気持ちを考えると、亡き義父にひとこと言ってやりたい気分になりました。
それと同時に、私もいつか必ず迎えるその時までには「見られてマズイもの」は抹殺!と誓いました。
それがきっかけで、生前整理について真剣に夫婦で話し合うようになりました。
「残される人に辛い思いはさせない」という目的を忘れずに進めていきたいと思いました。
関連記事:「終活」はどうはじめたらいいの? まずはエンディングノートを書こう
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。