電車のドア付近で陣取り友人を待つ「大阪のオバちゃん」。鼻で笑っていた私に天罰が...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:57
プロフィール:3匹の猫と夫と海辺の街でのんびり暮らす普通の関西人です。

電車のドア付近で陣取り友人を待つ「大阪のオバちゃん」。鼻で笑っていた私に天罰が... 47.jpg

駆け込み乗車は危険なので絶対にダメです。

しかしです。

「これに乗らないと会社に遅刻する」

「これに乗らないと次の連絡電車が30分待ち」

などの状況下で無理してででも乗ってしまったことがある、という方は少なくないのではないでしょうか。

かれこれ20年以上前、私がまだ30代の頃、大阪地下鉄御堂筋線での出来事です。

あくまでも私個人の意見ですが...大阪のオバちゃんは何にも急ぐような用事がないのに、車両の扉付近にドーンと脚を置き、遅れている友人を一緒に乗せようとします。

堂々としていますし、図々しいとも言えます。

偏見かもしれませんが、羞恥心がないようにも映るでしょう。

その日も「鈴木さん! はよう、はよう!」とオバちゃんが乗車口付近で騒いでいました。

見てみると、鈴木のオバちゃんは「まだ階段の一番上やん!」という状態です。

しかし、焦ることなく、鈴木さんは大スターさながらに大階段をゆうゆうと降りてきます。

「ミュージカルのフィナーレですか?」と心の中でツッコミを入れながら乗客たちは待っています。

御堂筋線は通常5分ごとの運行なので、すぐ後方の電車も、そのまた後方の電車も途中停止しているはずです。

大スターの鈴木さんのために待っているのです。

「恐ろしい~」と思いながら、その頃まだ若者気分だった私は、ちょっと鼻で笑っていました。

その数日後、家を出るのが遅くなってしまったので、いつものように乗り換えの通路を猛ダッシュして遅れを取り戻しました。

そして、地下鉄御堂筋線のホームへの階段を急いで駆け降り、車両に飛び乗りました。

すると、ちょうど顔だけがピッタリと扉に挟まってしまったのです。

「ハッ」として恐怖に満ちた目で、こちらを一斉に見つめる乗客たち。

右と左のほっぺたに扉の圧力を感じながら、「もしかして、今『シャイニング』のポスターのジャック・ニコルソンにそっくり?」と、頭は冷静だった私。

多分、1秒もたたないうちにプッシュ~と扉が開いて車両の中に入れたのですが、その後、目的の駅に着くまでの時間は永遠のようでした。

乗客を背に車窓にピッタリとくっついて、ドアの跡がついたほほを隠しながら、早く駅に着くことをひたすら願っていました。

私も大阪のオバちゃんを笑えないなと思い、もう駆け込み乗車はもうやるまい、と心に決めたのでした。

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