<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:60
プロフィール:コロナ禍の中、何かと守らなければならないルールが増えているので、ちょっと息苦しさを感じています。
2021年の年末、行きつけのスーパーは大混雑でした。
駐車場が狭いこのスーパーはいつも駐車には難儀するのですが、その日は特に行列ができていました。
駐車場は入口から出口までの一方通行となっています。
出口に近い方が建物に近いので、できるだけ入口から進んでから空きスペースを求めています。
そのため、結局止められずに入口の振り出しに戻る方も少なくありません。
このスーパーでは出口近くのスペースが空いたと見ると、出口側から入って逆走する不心得者もいます。
そうして、逆走した車とぶつかりそうになって言い争いになるトラブルがたびたび起こっています。
「いやあ、大変だった。買い忘れはないかな? もう一度来るなんてごめんだよ...」
買い物を抱えて店の外へ出たところ、急ブレーキの音が聞こえました。
音がした方を見ると、ハンドルを切りかけて斜めに止まった車の中で、助手席の小学生と見える男の子が大泣きしていて、運転席の40代ぐらいの女性が懸命になだめているのが見えました。
「おや、やっちまったかな...」
見ていると、その車のすぐ前のスペースに止まった黒い車から30代と思しき男性が降りてきました。
すると、女性が車から降りてきて叫びました。
「危ないじゃないですか!」
「空きスペースがあったから入れただけだろ!」
男性が言い返しました。
どうやら駐車スペースが空いたのを見て、男性が出口側から入ってきて割り込んだようです。
スペースに向かって車を進めていた女性は急ブレーキを踏む羽目になり、助手席の男の子ははずみで頭をガラスに打ち付けてトラブルとなったようです。
「ここは入口からの一方通行ですよ!」
「へえ、そうなんだ。知らなかったよ」
「そんな...出口側に大きく進入禁止って書いてあるでしょ?」
「そうだったかなあ」
トラブル続きの駐車場なので、出口には標識やら看板やら、はてはゲートまで真っ赤に塗って「進入禁止」と大書されています。
これに気づかないのはもはや前方不注意でしょう。
とても言い訳にはなりません。
「狭い駐車場だから逆走禁止なんですよ。ルールですからね」
騒ぎを聞きつけてやってきた年配の警備員(60代ぐらい。年末セールなので配置されていたようです)が男性を諭すように声をかけました。
すると、男性はいら立った様子で声を荒げました。
「うるせえな! ルールなんか守ってたらいつまでも停めらんねえだろ! ルールなんかちんたら守ってるほうが馬鹿なんだよ!」
この信じられない発言に、さすがに周囲の人から野次が飛びました。
「そんな無茶な!」
「ぶつかりそうになったんだぞ!」
警備員の方も呆れた表情で言葉を失っていました。
「ぶつかってたらあんたが100パー悪いんだよ!」
「子どもが大怪我してたらどうするつもりなんだ!」
高まる野次を受けて、車内のお子さんをなだめている女性の姿をちらっと見た男性も不利を悟ったようです。
「ああ、分かったよ! こんなめんどくさいスーパー、願い下げだ! 二度と来るか!」
そう言い捨てて車に戻り、猛スピードで車をバックさせて駐車場をあとにしました。
女性は男性が去ったあとのスペースに改めて車を停めて、まだしゃくり上げている男の子を車から降ろし、警備員さんにお礼を言って店に向かいました。
男の子は手を引かれながら自分の足で歩いていったので、大事はなさそうでホッとしました。
それにしてもルールを守る方が馬鹿、とはあんまりな言葉です。
男性は捨て台詞だけ残し、謝罪の言葉もお子さんを気遣う言葉もありませんでした。
私を含め、周囲の人々の間ではしばらく非難の声が飛び交っていました。
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