パートナーを亡くして一人になった女性は、孤独で哀れな存在...だなんて、そんなイメージはもう昔のもの。むしろ、「せっかくシングルになったのだから、残りの人生、自由に楽しまなくちゃ!」そんな一人暮らしを楽しんでいるマロニエさん(62歳)とその母(92歳)のエピソードをお届けします。
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
今から6年前、50代の半ばでパートナーと死別したのを機に地元に戻った私は、両親のいる実家の近くで一人暮らしを始めました。
その1年後に父が他界し、母もまた独身になったのですが、私たちは一緒には住まず、そのままそれぞれ一人暮らしを続けて今に至ります。
当初は同居も考えましたが、「お父さんの物を片付けてからにしよう」ということになり、ようやく片付いた頃に改めて実家を眺めると、私の荷物が入りそうになかったのでした。
「荷物、捨てれば?」と母は言いましたが、それは「今の生活を捨てなさい」と言われているようで、当時の私には、そう簡単にはできない相談だったのです。
とはいえ、私の所は母と一緒に暮らすには狭く、「いっそ実家を処分して建売住宅でも買う?」という話まで出たものの、結局行動に移すことはありませんでした。
そのうちに母も一人暮らしに慣れ、それが結構居心地よくなって、あっという間に数年がたち、気がつけば私62歳、母92歳になってしまった、という次第。
高齢ですし「さすがにそろそろ...」と、時々同居の話を向けてみるのですが、母曰く「まだこのままでいい」。
親子とはいえ、食の好みも生活様式も完全に違うので、今さら同居などしたらきっとストレスが溜まるだろうと、母もなんとなく感じているようです。
かくして、近くにいながら92歳の母を一人暮らしさせている62歳の娘という、世間様からはお叱りを受けそうな状況になってしまいました。
でも、この6年で、私も母も基本的に孤独を楽しむ自立型人間だということがわかったので、この際「お互いにシングルライフを楽しんじゃおう!」と前向きに覚悟を決め、できることはサポートしながら、今はこの暮らしを続けようと思っています。
いざとなったら、それはその時に対処する、ということにして。
ただし、それには二人とも健康であることが必要条件。
幸い母は元看護師で、77歳まで現役で仕事をしていた医療のプロフェッショナル。
毎日自分で血圧を測り、セルフケアを怠らず、今通っているクリニックの、息子より若い40代の主治医には、時々医学用語も混じえながら、自分の症状を的確に説明しています。
もちろん「お年ですから」なんて診断では納得しません。
「おばあちゃん」扱いされるのも大嫌い。
主治医もたじたじの頼もしい元職業婦人ですが、こうでなければ92歳で一人暮らしなんかできないよなあと、しみじみ思う私です。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。