「お婆ちゃん、あなたが大好きだったの」だから死の間際に呼んだのかな? 介護士時代の不思議な出来事

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ラズベリージャム
性別:女
年齢:52
プロフィール:愛猫二匹に癒される日々を送っています。50代にして再就職するアクティブ主婦です。

「お婆ちゃん、あなたが大好きだったの」だから死の間際に呼んだのかな? 介護士時代の不思議な出来事 100.jpg

私が42歳だった10年程前、私の介護職初仕事は、介護サービスを受けるのが初めての83歳認知症のご婦人(享年88歳)の担当でした。

在宅介護の仕事でしたので、自宅に伺ってのケアサービスです。

ご婦人は目が不自由で全盲に近く、日常的に介護の必要な方でした。

アルツハイマー型の認知症を患い、デイサービスに通っていましたが、とても温和な女性でした。

ご家族は仕事で家にいないため、彼女のデイサービスへの送り出しと身支度、朝食をとらせるのが私の仕事。

私と彼女はとても気が合って、毎週伺うのがとても楽しかったのを覚えています。

3年ほど担当させていただきましたが、職場での配置転換があり他の方に担当が変わりました。

それからはあまり関わることもなく、たまにお会いしても認知症の方なので私のことは覚えていません。

私たちの仕事はそういうものなので、特に気にもとめていませんでした。

それから2年ほどたったある日、担当のケアマネジャーさんから「ちょっと人手が足りないから、明後日行ってもらえるかしら?」と頼まれ、ご婦人の家へ数年ぶりに伺うことになったのです。

ご婦人は病気が進行し、酸素吸入機をつけており寝たきり状態とのこと。

久しぶりにお伺いするな、と思いながら自宅に向かいました。

到着すると、驚くべき事態になっていました。

ご婦人が昏睡状態に陥っていたのです。

一緒に寝ていた飼い犬(ダックスフンド)が、酸素吸入機のコードをひっかけてご婦人から抜いてしまった様子です。

自宅には家族は誰もいない状態でした。

慌てて事務所に電話をかけ責任者を2人呼び、救命措置を行います。

同時に救急車も手配。

しかし必死の救命措置も間に合わず、運ばれた病院でご婦人はお亡くなりになりました。

その日がそのご婦人の人生最後の福祉サービス利用となりました。

そのあとご家族と偶然ファミレスで出会ったときに言われたことが忘れられません。

「おばあちゃんはあなたが好きだったのよ」

彼女の人生で最初の介護サービスを提供したのは私であり、人生最後のサービスを提供したのも私。

これは偶然だったのでしょうか?

10年ほど介護士をしていましたが、最期を見送った経験はこの一度きりです。

ご家族は「あなたに感謝を伝えたくて最後に呼んだんだと思う」と言ってくれました。

私も好きな方だったので、今でも偶然の出来事ではなく、寿命を感じとったご婦人が私を呼んでくれたのではないかと思っています。

今でも時折り彼女を思い出しては懐かしむ日々です。

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