<この体験記を書いた人>
ペンネーム:せみ
性別:女
年齢:44
プロフィール:44歳の夫と中学2年生の娘と暮らすパート主婦。
今から10年くらい前、当時34歳くらいの主婦だった私は、所用があり電車で出かけました。
幼い娘を夫に託し、久しぶりの一人きりでのお出かけです。
とある無人駅に降り立った私は、駅のホームで切符を車掌さんに渡しました。
通常は、切符は降りる駅の改札の機械に投入します。
しかし、その無人駅には改札がなく、電車が停車すると、電車から車掌さんがホームに出てきて、その駅で降りる客の切符を回収する仕組みになっていました。
無人駅から乗車するなどして切符が買えなかった場合は、電車内で切符を購入するか、降りる際に車掌さんに運賃を払わなくてはなりません。
ところが、切符を渡して少し歩いたとき、後ろで日本語ではない何らかの言語と、車掌さんの「切符は? 切符出して?」という慌てたような声が聞こえたのです。
振り向いてみると、この駅で降りた2人連れの男の人が、何やらよく分からない言語を話していて、身振り手振りを交えて「切符がない」もしくは「話が分からない」と、車掌さんに伝えているようでした。
その内、電車の発車時刻が来たのか、車掌さんは切符も代わりの運賃も受け取れないまま「ああ、もう!」などとつぶやきながら電車内に戻り、電車は出発していきました。
驚いたのは、その電車が去った後のことでした。
電車が見えなくなったとたん、さっきまで外国語を話していた2人組が、急に大声で笑いだし、流ちょうな日本語で会話を始めたのです。
彼らの日本語は日本人とほぼ同じレベルでした。
顔もアジア人の顔なので、日本人だったのかもしれませんし、もしかしたら日本語が上手なアジア系外国人の可能性もあります。
いずれにせよ、日本語が分かるのに分からない振りをしていたのだと知って、びっくりしてしまいました。
「車掌さーん! この人たち日本語しゃべってますよー!」
そう叫びたい気持ちになりましたが、車掌さんと電車はすでに出発していて、ここは無人駅で、ここにいるのは私とその2人組のみです。
そして、さっきはふざけて切符を出さなかったものの、ひょっとしたら事前に切符を買っていて、持っている可能性がないとも言えません。
でも、その2人組の大きな笑い声を聞いていたら、すごく嫌な気分になってしまいました。
そして、その出来事から何年もたった後、久しぶりでその駅に行く機会があったのですが、駅に着いた私は驚きました。
なんと、その駅に改札が設置されていたのです。
ひょっとしたら、鉄道会社でもそういった事例を把握していたのかもしれませんし、ただ利用客が増えたから、改札を設置したのかもしれません。
ともあれ、私は切符を改札に通しながら、なんとなく晴れやかな気分になったのでした。
関連の体験記:図書館で居眠りにおしゃべりってマナー違反でしょ? 非常識な利用法にモヤモヤ
関連の体験記:休日の早朝6時にピンポン連打⁉ 非常識な業者さんにリフォームを依頼した「お隣さんの悲劇」
関連の体験記:仕事では後輩だけど「社長の知人」でもある56歳同僚の「仕事中のおしゃべり」が凄すぎて...
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。